選手への助成金の不正流用や暴力団元組長との交際が明るみに出た日本ボクシング連盟の山根明会長(78)が8日、大阪市内で会見し、「本日をもって辞任したい」と、終身会長を辞任する考えを表明した。日刊ゲンダイが6日発売の紙面で、「日本ボクシング連盟 山根会長を追放へ」「インターハイ後にも緊急理事会を招集して解任動議」と既報した通りのクーデターが起きていた。7日、日本ボクシング連盟が大阪市内で緊急理事会を開き、
複数の理事が山根明会長(78)に辞任を迫ったのだ。関係者によれば、山根会長を含む連盟の32人の理事のうち約20人が造反。すべて山根派で固められていたはずの理事の半数以上が反旗を翻した。
日刊ゲンダイが報じたように、「一部の理事が山根会長解任に動きだしたのは、岐阜でインターハイが開催されていた先週のことです。
体調不良を理由にインターハイを欠席した山根会長が、各メディアの取材を片っ端から受けて持論を展開。元暴力団組長との交友を認めるなど、口を開けば開くほど疑惑を深め、新たな問題を浮上させてしまう暴走ぶりに、
山根派の理事たちもさすがに頭を抱えてしまった。そこで、側近だった吉森照夫副会長をはじめとする一部理事が、ドンのいないインターハイに参加している理事たちから説得を開始した」(連盟関係者)というわけである。
吉森副会長は山根会長の黒い交際について、5日に「付き合いといっても、いわゆる暴力団としての付き合いじゃないから」と単なる友達関係との認識を示し、山根会長をかばうような発言をしていたが、その時点ですでにドンを見限り、裏切っていたわけである。
「内海祥子常務理事もそうです。吉森副会長とともに山根会長の側近中の側近で、一部では女帝とも言われていましたが、
今回のクーデターで実際に理事の切り崩しを行ったのが他ならぬその内海さんです。連盟がインターハイ後に緊急理事会を開き、山根会長を解任するというのは内海さんに近いところから出てきた話。
ゲンダイさんも書いていましたが、内海さんは当初、山根会長の後任に吉森さんを立てようとしていた。さすがにこれは、新たな批判を呼ぶだけと連盟内からも異論が出て頓挫したが、連盟の関係者の間でも、
“内海さんは会長を切って、吉森さんに乗り換えるのか”と驚きをもって伝えられました。山根派の理事たちの多くはもともと、高校や大学のボクシング部を率いる指導者や教育者。これ以上は会長に付き従えないという、良心が残っていたということです」(同)
中には、もはや死に体となったドンから距離を置き、潔く身を引くことであわよくば新体制に影響力を残したい、と考えた理事もいたかもしれないが、いずれにしろこれで山根会長は追い詰められた。
■独裁者の哀れな末路
午後4時から始まった7日の緊急理事会は約3時間に及び、会議が行われた大阪市内のホテルには200人以上の報道陣が集まるなど、終始、緊迫したムードに包まれた。山根会長は理事会で「このような事態になったことは会長として申し訳ない」と謝罪。
会議後に応じた取材では、「心が整理できた。あす(8日)正午に私の気持ちを言います。自分の人生をかけてモノを言いますから。
男としてのけじめの話をするのできょうは時間をください。家族と友人にも相談して、自分の判断は自分で決めます。(理事会から)会長一任と言われた以上は時間をください」と絞り出し、理事会から進退を一任されたことを明らかにした。
理事会に出席する前には「私自身はなんにも悪いことはしていない。辞任? そういう腹はありません。(問題が)解決していないから。
私は連盟の大改革をしている。仕事をしているんだ」と強気に繰り返し、辞任を否定していたのとは対照的な殊勝な態度。理事からは「私の健康を心配する話が出た。心に打たれた」
と話したものの、側近に裏切られ、シンパに手のひらを返され、完全に外堀を埋められた状態となっては、「カリスマ山根、世界の山根」もさすがに観念するしかなくなった。
ボクシングは、2年後に控えた東京五輪の実施競技から外される危機に瀕している。国際ボクシング協会のガバナンスが国際オリンピック委員会(IOC)から問題視されているためだが、反社会的勢力との交友をはじめとする開催国連盟トップの疑惑はさらなる逆風となるのは間違いない。
これが、山根派理事たちに反旗を翻させた要因のひとつだ。山根会長の独裁体制が招いた一連の騒動は、そんなドンを支えた忖度理事連中にも大きな責任がある。
自業自得とはいえ、山根会長は飼い犬に手を噛まれた心境だろう。独裁者の末路はやはり、哀れなものだ。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180809-00000014-nkgendai-spo
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