ハブにマングース、アブラムシにテントウムシ。松井秀喜に遠山奬志で、サッカー日本代表にはティム・ケーヒルか。天敵といえばさまざまなものが思い浮かぶが、錦織圭に対するジョコビッチ(セルビア)もその1つだろう。
直近の対戦となった今年5月のマドリード・オープンで錦織は言っていた。「ジョコとやる時はパターンが決まっているというか、弱いところを結構突かれる気がする。そういうことができる選手だし、自分のことを分かっている選手の1人でもある」
最後にジョコビッチに勝ったのは14年全米オープンで、もう4年近く負けっぱなし。12連敗とあってはぐうの音も出ない。ジョコビッチに突かれる弱点は一体何なのだろう。
「走らされてフォアの高いところを突かれると弱いよね」と語るのは元デビス杯監督の竹内映二氏だ。
「圭はバックのクロスラリーでポイントを組み立てるから、(それをさせてくれない)バックの強い選手が苦手」。バックハンドの得意な選手ならガスケ(フランス)やバブリンカ(スイス)の顔が思い浮かぶ。
少し毛色は違うが、バックのクロスラリーを無力化してしまうという点ではペール(フランス)もそうかもしれない。彼らは錦織にとって間違いなくやりにくい相手である。
その中でもジョコビッチのバックハンドは特級品。クロスラリーを漫然と続ければ、先にストレートに打たれてフォア側に走らされる。かといってこちらからバックのストレートを仕掛けても、中途半端な攻撃にはフォアのクロスのカウンターが待っている。
結局フォア側に振られる。「ジョコも圭と同じタイプ。そこでの主導権の握り合いですよ」と竹内氏は似たもの同士ゆえのつばぜり合いと見ている。
ではどうしてフォア側に走らされるとまずいのか。ロンドン五輪代表監督を務めた村上武資氏が指摘している。「ジョコビッチはサーブをフォア側に打ってくることが多い。圭はグリップが厚いので、打点が体から離れるほどリターンが返しにくくなるんです」。
錦織のように厚いグリップは、横に手を伸ばした時にラケット面が下を向く。つまりフォアの遠い打点では力が伝わりづらく、ボールを飛ばすのが難しいのである。
デ杯の現代表監督である岩渕聡氏の見立てもバックハンドとフォアの急所についてはほぼ同様。「ただしバックの打ち合いで圭に勝てるのはジョコビッチぐらいしかいない」という点でも見解は一致していた。そこは長く世界1位に君臨したジョコビッチのクオリティーである。
両者16度目の対戦は初めての芝コートとなる。「芝ではまた違ったゲームになると思う」と語った錦織は、天敵退治の打開策をどこに見いだすだろうか。 (雨宮 圭吾)
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180711-00000076-spnannex-spo
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