インターネット通販の急拡大に伴うコスト増で業績が悪化したヤマトホールディングス(HD)は、マスコミを通じて宅配事業が成り立たなくなった実情をアピールし、「値上げやむなし」という世論を盛り上げた。この結果、昨年には大きな反発を受けることなく、個人向け宅配運賃を値上げでき、業績は上向いた。だが、今回の不正発覚で、「クロネコ」ブランドのイメージ失墜は計り知れない。(伊藤俊祐)
業績回復に向けたヤマトHDの戦略について、他の企業からは「優れた広報戦略。お手本にしなければならない」といった声が相次いだほどだ。
また、同社はがんじがらめだった国の規制を緩和させたり、郵便事業と戦ったりして、宅配ビジネスのモデルを構築してきた。消費者の同社に対するイメージも良かった。
しかし、子会社が法人向け引っ越し代金を過大請求していた問題が発覚したことで、イメージ悪化は避けられそうにない。
小売業などでは、不祥事が発生すると不買運動などに発展し、業績が大幅に低下するケースもある。ただ、ヤマトHDは主力の宅配便で国内シェアの約半分を握る。今回の不正を受け、個人向けを含む引っ越しサービスの新規受注を休止するが、東京都内に本社を置く別の運送会社社長は「クロネコがなければ国民の生活が成り立たないほどの物流網を構築している。ブランドイメージは低下しても業績に大きな影響を与えないはず」と分析する。
こうしたビジネスモデルが無意識のうちに社員のおごりを招き、不祥事につながった可能性がある。
山内雅喜社長は31日の記者会見で「陣頭指揮を執って再発防止の着実な遂行に努める」と何度も強調したが、その具体策はほとんど示されなかった。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180831-00000616-san-soci
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