アマスポーツ界の不祥事が止まらない。20年東京オリンピック(五輪)でメダルが期待される体操で、コーチの暴力行為が発覚した。日本体操協会は15日、世界選手権(10~11月、ドーハ)の女子代表候補、宮川紗江(18=レインボー)を指導する速見佑斗コーチ(34)に同日付で無期限の登録抹消と味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)での活動禁止処分を科した。
選手の頭をたたいたり、髪を引っ張ったりする行為が繰り返し確認され、聞き取り調査をしたところ、コーチ本人が事実関係を認めたという。
体操界に激震が走った。リオデジャネイロ五輪女子団体のメンバーで、20年東京五輪でも期待される18歳宮川が、マンツーマンで指導を受ける速見氏から殴るなどの暴力を受けていたことが明らかになった。
時期は明らかにされていないが、速見氏の暴力行為を複数人が目撃し、報告を受けた日本協会が調査に着手。速見氏本人に聞き取りをし、認めたため、無期限の登録抹消処分に至った。
速見氏は日本協会主催の大会に参加できないほか、代表選手の活動拠点であるNTCの出入りも無期限禁止となる。代表候補である宮川に対する指導、練習場所の提供は日本協会の女子強化本部が支援する。
宮川は強い脚力と優れた空中感覚を持ち、跳馬と床運動を得意とする選手。リオ五輪では団体メンバーとして4位入賞に貢献した。速見氏はそんな宮川を小5の時から育ててきたが、複数の関係者によればこれまでもその指導には問題があったという。過去には、1時間以上立たせて説教するほか、宮川の髪の毛を引っ張り、馬乗りになってたたいた目撃証言もある。
また、今年5月から宮川とともに株式会社レインボーのサポートを受けていたが、7月10日付でコーチを除名されていることも新たに分かった。
同社関係者は「暴力ではなく、他の問題があった」と明かす。宮川に関しては「どういう形の支援になるか分からないが、日本協会と話し合い、これからも応援していきたい」とした。
他の女子選手への心理的影響も計り知れない。この日、アジア大会のためジャカルタ入りした女子の田中光監督は「なかなかコメントできない」と動揺しつつ、「もちろん今後は(暴力が)ないようにしていくということ」と話した。
◆日本体操協会倫理規程 競技者や役員関係者に対し、国民の疑惑や不信を招く行為の防止を図り、社会的信頼を確保することを目的に定められている。
今回の件は、第3条の違反行為13のうち「(7)指導における暴力、パワハラ、セクハラ及び個人的な差別など人権尊重の精神に反する行動をとったとき、
あるいはとらせたとき」にあたる。処分は重い順に<1>永久追放<2>登録抹消<3>資格停止<4>戒告<5>その他必要に応じて、となっている。
◆速見佑斗(はやみ・ゆうと)1983年(昭58)9月27日、長崎県佐世保市生まれ。関西高、日体大を経て、徳洲会体操クラブに所属。08年北京五輪代表選考後に現役引退。コーチとしてセインツ体操クラブに所属し、宮川を小5から指導する。17年秋からエンジョイ所属。
◆宮川紗江(みやがわ・さえ)1999年(平11)9月10日、東京都西東京市生まれ。2歳から体操を始める。14年からナショナル入り。14年ユース五輪種目別跳馬銅メダル。15年世界選手権床運動4位、団体5位。16年リオデジャネイロ五輪団体4位。149センチ。血液型B。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180816-00300997-nksports-spo
みんなのコメント