「モンスター」の異名さえ、控えめに響く。世界ボクシング協会(WBA)バンタム級(53.5キロ以下)チャンピオンの井上尚弥(25)(大橋ジム)が7日、王座の初防衛に成功した。元世界王者のフアン・カルロス・パヤノ(34)(ドミニカ共和国)を相手に、
わずか開始70秒でKO勝ち。バンタム級の世界的強豪が全員出場していると言っていい大会「WBSS(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)」の初戦で、世界戦での日本人KO勝利の史上最速記録を樹立した。(敬称略、メディア局編集部 込山駿)
「バッチリ合った」理詰めの2発
パンチを食らった次の瞬間、パヤノの体が力を失い、スローモーションのようにひっくり返った。
横浜アリーナを埋めた1万人の観衆がどよめき、総立ちになる。レフェリーが10カウントを数えると、井上はコーナーに上ってガッツポーズし、「ナオヤ、ナオヤ!」の大合唱を浴びた。「WBSS初戦、最高の勝ちでスタートを切れました!」。リング上で声を張り上げた。出合い頭の一撃――と片付けるのは間違っている。狙い澄ました理詰めの速攻だった。
井上は開始ゴングからの約1分間を、軽い左ジャブを出して間合いを確認することに充てた。「パヤノとの距離感を、完全にではないけど大体、見切った」ところで鋭く踏み込み、この試合の最初で最後となる攻勢を仕掛けた。.
1発目は、左ジャブを相手ガードの内側から、右顔面にねじ込む。のけぞった相手の死角を突く軌道で、2発目も同じ右顔面に右ストレートを突き刺した。スロー再生映像で見直すと、パヤノの顔がグニャリとゆがんで見えるほど、強烈な一撃だった。
井上は「ずっと練習してきたパンチ。バッチリとタイミングが合って、手応えがものすごく拳に伝わった。
倒れ方からも、かなり効いているとわかったので、試合は終わったと思った」と振り返る。パヤノは「井上が強かった。油断したわけではないが、パンチが入ってしまった。速くて見えなかった」と脱帽するしかなかった。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181010-00010001-yomonline-spo
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