第100回全国高校野球選手権記念大会は熱戦に次ぐ熱戦の末、大阪桐蔭が史上初となる2度目の春夏連覇を達成し、幕を閉じました。
スポーツ報知のルーキー女性記者が初の甲子園取材でネット裏からアルプススタンドに至るまでフル稼働。汗と涙にまみれて追いかけた真夏の一瞬を「見た」コラムで振り返ります。
これぞ一級品。大阪桐蔭のドラフト上位候補・根尾昂遊撃手(3年)は、プレーやそれ以外、どこを切り取っても「一級品」だった。
根尾が音頭を取った。準決勝の済美戦を翌日に控えた大阪・大東市内にある同校グラウンドでの練習後の一幕。ナインは10分間の囲み取材に応じることになり、根尾は多くの報道陣に囲まれた。記者はみな、意気込みを聞きたくてウズウズしていた。
5分たったところで、2人の記者が同時に言葉を発した。「あ…」「根…」。2人は「どうぞどうぞ」と譲り合いをした。囲み取材では、よく見る光景だ。最初の1人の質問に答えた後、根尾は予想外の行動に出た。他の記者が次々と質問しようと構えていたが、
根尾が「目」で場を仕切ったのだ。先ほどの「どうぞどうぞ」で譲ったもう一人の記者を「次はあなたの番」とでも言うように目で促した。囲み取材をうまく取り仕切る、高校生離れしたその姿に、取材陣は「さすがだ」と言わんばかりに“根尾さん”を見つめたものだった。
プロテインの飲み方もみんなの手本だった。根尾は果汁100%ジュースを水で薄めて先に飲み、その後にプロテインを摂取する。
一塁コーチを務める奥田一聖内野手(3年)が「どこからそんな知識が出てくるやら」と詮索すると「ジュースが吸収にいいと本で読んだ」と読書家の根尾は言ったという。奥田は「彼の行動が仲間に与える影響は大きい。僕もよくマネをしている」と同じポジションの同級生を慕ってきた。
決勝の金足農戦、5点リードの5回無死一塁で根尾は見せた。最速150キロの吉田輝星投手(3年)からバックスクリーンに叩き込む2ラン。大会屈指の右腕からの一発にしびれた。グラウンド内外で、真の「一級品」を肌で感じた夏だった。(宮下 京香)
◆宮下 京香(みやした・けいか)1994年、さいたま市出身。24歳。東経大卒。小学校から高校までソフトボールに熱中。捕手、外野手として高2では春の選抜大会、インターハイに2季連続出場。同年、県選抜入り。右投右打。
小学時代は、親の仕事の都合で大阪、愛知、福岡、埼玉と転校を繰り返し、今でも時折どこかのなまり言葉が出る。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180827-00000210-sph-base
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