◇第100回全国高校野球選手権記念大会第9日・2回戦 大阪桐蔭10―4沖学園(2018年8月13日 甲子園)
史上初2度目の春夏連覇を狙う大阪桐蔭(北大阪)が2回戦で沖学園(南福岡)を10―4で下した。今秋のドラフト1位候補の根尾昂内野手(3年)は「5番・投手」で出場し、7回には高校通算28号となる甲子園初アーチ。夏の聖地初登板となった投手でも自己最速タイの148キロをマークするなど、投打の二刀流で今大会最多となる4万5000人の大観衆を魅了した。
青空に金属音を響かせ、打球は一直線に伸びた。4点リードで迎えた7回だ。先頭の根尾は初球の直球を振り抜いた。
「甘いところにきたので、1球目から振っていこうと思った。やっと自分のスイングができました」
バックスクリーンへ放り込む高校通算28号。2年春から15試合目、65打席目にして待望の甲子園初アーチだ。今大会最多4万5000人の観衆のどよめきを誘う衝撃の一発。軽快な足取りでベースを回り、ドヤ顔でベンチへ戻ってきた。
センバツは史上初となる2年連続の胴上げ投手に輝いたが、実は夏の聖地では初登板初先発だった。「やっと来たなという感じ」。待ちわびた灼熱(しゃくねつ)のマウンドで気合が入りすぎたのか、5回は森島に、8回は阿部に左翼へソロを浴びた。
1試合2発を許したのは「練習試合も含めて初めて」と猛省するが、自己最速タイとなる148キロを計測。スタンドにはプロ11球団、40人以上のスカウトも集結した。出場全56校が出そろった後の2回戦としては、異例の事態。根尾の潜在能力の高さを証明する出来事ともいえた。
投打の二刀流で高い評価を得ているが、人間力も一流。父母会会長も務める父・浩さんから2カ月に1度、寮に20冊近くの本が届く。北大阪大会前は「リーダーの禅語――人を動かす5つの力、50の言葉」を読破した。
人間力は幼少期に育まれた。大切にするのは「礼に始まり、礼に終わる」。この日もマウンドに上がると、深々と頭を下げた。中学時代の成績はオール5。
生徒会長も務めた。実行したのは「故(ふる)きを温めて新しきを知る」。校門前でのあいさつを推進し、伝統の合唱に力を入れ、誰よりも大きな声で歌った。
「今日もみんなに助けてもらったし、感謝しています」。史上初2度目の春夏連覇へ。凄みを増す投打二刀流がまた一つ偉業への階段を上がった。(吉仲 博幸)
◆根尾 昂(ねお・あきら)2000年(平12)4月19日生まれ、岐阜県飛騨市出身の18歳。小学2年から古川西クラブで野球を始め、遊撃手と投手。中学時代は飛騨高山ボーイズに所属し、中3ではNOMOジャパンに選出。
大阪桐蔭では1年夏からベンチ入り。最速148キロ。高校通算28本塁打。50メートル6秒0。1メートル77、78キロ。右投げ左打ち。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180814-00000066-spnannex-base
みんなのコメント