【球界ここだけの話】広島の強さの秘密のひとつに“タクシー通勤”がある。田中、菊池、丸のタナキクマルトリオや鈴木ら全選手が本拠地マツダスタジアムの試合日には、ゆったりタクシーに腰を据えて球場に入る。チーム最年長の新井貴浩内野手(41)だって例外でない。その理由を、鈴木球団本部長が明かす。「球場の駐車場の数が限られている。交通事故に遭う可能性もあるので、安全面を考えている。12球団でも広島だけだと思うよ」と胸を張る。
マツダスタジアムの球団事務所横の駐車場を数えてみると約60台。球団職員が使うスペースも必要で、全選手がマイカー通勤すると「満車」の域を超えてしまいそうだ。練習日や、大きな荷物を運ぶときを除き、タクシーの使用を推奨する。
この慣例は1990年頃から始まったという。当時の本拠地は広島市の中心で平和公園のそばにある広島市民球場。高ヘッドコーチは「入団したての頃は車で通ってた。駐車場が少なくて、近くの百貨店の駐車場に駐めたこともある」と懐かしそうに振り返った。
その伝統は2009年にマツダスタジアムに移転した現在も続く。試合後に選手がタクシーに乗る姿は見慣れた光景。ときおり、契約しているタクシー会社が球団ロゴをあしらった外装、内装すべてがカープで統一されているタクシーが来ることもあり、選手は苦笑いで乗り込む。
特例のケースもあった。2015年に米メジャーから復帰して“男気”ブームを巻き起こした黒田博樹氏は、あまりの人気でプライバシーを守るため、マイカー通勤に変更。もう一人はエルドレッド。使うのはマイカーではなく「ママチャリ」。1軍にいるときは元広島の外国人選手から譲り受けた自転車で、陽気に球場入りする。
最後まで諦めないプレーで、長時間の試合を戦い抜いて、本拠地での勝利は7割以上を誇るカープ。鯉戦士は、1分でも、1秒でも体を休めるため、今日もタクシーに乗る。(柏村翔)
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180812-00000555-sanspo-base
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