第100回全国高校野球選手権大会で金足農を秋田県勢103年ぶりの準優勝に導いたエース、吉田輝星(こうせい)投手(3年)が「巨人に行きたい」と発言しプロ・アマ双方の球界に波紋を広げている。
当の巨人は今夏甲子園最大のヒーローからのラブコールに狂喜乱舞しているかと思いきや、むしろ史上初の2度目の春夏連覇を達成した大阪桐蔭の根尾昂内野手(3年)、藤原恭大外野手(3年)にご執心の様子。しかも、今年ばかりはおいそれと乗り換えるわけにいかない事情が存在する。
吉田の衝撃的な“告白”から一夜明けた23日、巨人・鹿取義隆GM(61)はDeNA戦が行われた横浜スタジアムに姿を見せたが、いたってクールな反応。「ちゃんと調べた方がいいですよ」。先走る報道にくぎを刺し、吉田の真意は従来通り大学進学であることを示唆したようにも受け取れた。
「スカウトから高い評価は上がっています」と右腕の素質は認めるが、長期的なドラフト戦略を今さら混ぜ返すわけにはいかない。決勝で金足農を破った大阪桐蔭の2大スター、根尾と藤原が指名リストの最上位だからだ。
同校出身で2005年高校生ドラフト1巡目指名の156キロ左腕、辻内が故障にも泣いて1軍未登板のまま戦力外になって以来、同校とは疎遠。同校はその後も数々の名選手を輩出してきたが、巨人はドラフト指名を見送ってきた。
だが、史上最強チームの両輪がドラフトにかかる今秋は事情が違う。関係修復を進め、ようやく指名できる状況が整ったところ。ここで急転して吉田に“浮気”したら信頼関係が崩壊してしまう。
本来、1992年の松井秀喜(星稜)を最後に、競合する甲子園のスターの指名を回避し、昨年は清宮幸太郎(早実、現日本ハム)を1位指名したが、7球団競合の末抽選で外しているだけに、大阪桐蔭勢を上回る注目と人気を集めた吉田の存在は、巨人にとっても魅力的なはず。
それでもリップサービスさえ挟めない鹿取GMの応対が、かえって大阪桐蔭への並々ならぬ配慮を感じさせた。
今年30歳の坂本の後継者になりうる遊撃手、長野や亀井が30代中盤にさしかかっている外野を補強したいチーム事情もある。
ひと昔前の巨人なら、「吉田は巨人以外に指名されたら進学」とにおわせて他球団を牽制し、2位以下で指名する豪腕を見せていたかもしれないが、断トツの人気と資金力を誇り、
他球団が巨人戦の放映権料を当てにしていた時代とは違う。球界を揺るがした裏金問題、野球賭博事件なども経て、横車を押す状況にはない。
巨人は29日に、甲子園大会終了後初のスカウト会議を開く予定だが、当面相思相愛とはいきそうにない吉田は、他球団とのカップリングを受け入れるか、あるいは大学進学に舵を切るか。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180825-00000014-ykf-spo
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