貴乃花親方の退職で角界から花田家の系譜が途絶えた。土俵の鬼と呼ばれた初代若乃花が1946年11月に入門後、3横綱1大関を輩出してきた一族が72年ぶりに相撲界に在籍しなくなった。
貴乃花部屋を継承する千賀ノ浦親方(元小結・隆三杉)は1日、猛稽古で華のある力士を育ててきた「鬼の伝統」を引き継ぐことを誓った。
不本意な形で角界のロイヤルファミリーと呼ばれた花田家の歴史に終止符が打たれた。初代若乃花は107キロの軽量ながら大技・呼び戻しを操り「土俵の鬼」と恐れられた。
「土俵の中には地位も名誉も金も埋まっている」と名セリフを残し、大家族を養う姿に国民は戦後復興の姿を重ねた。
その末弟(10人兄弟)の元大関・初代貴ノ花は水泳選手として五輪出場を嘱望されながら「水泳ではメシが食えない」と角界入り。細身の体で真っ向勝負を挑む悲壮感が横綱以上の人気を呼んだ。その息子2人が3代目若乃花、貴乃花の史上初の兄弟横綱だった。
1988年春場所、長男・勝(現・虎上)、次男・光司が入門。最年少記録を塗り替え出世していく弟を支える「お兄ちゃん」の姿に日本中が熱狂。
空前の若貴フィーバーを起こしたが、横綱昇進後は兄弟不仲となり、2005年に父の死去後、喪主の座をめぐっての確執が絶縁へと発展した。3代目若乃花は00年に協会を退職。それから18年後、弟も角界を離れた。
初代若乃花が1962年9月に二子山部屋を興してから今年で56年。一族で経営してきた相撲部屋の歴史も終わったが、
貴乃花部屋の力士らを受け入れる千賀ノ浦親方は「私は土俵の鬼、大関・貴ノ花、横綱・貴乃花の部屋を全部知っています。少しでも鬼の伝統を継ぎたい」と“鬼の系譜”を絶やさず角界に残すことを誓った。
◆貴乃花親方・退職アラカルト
▽「貴乃花」の名 今後の活動での使用に関して、八角理事長は「大丈夫だと思います」とタレント活動などで名乗れることを認めた。本名の「花田光司」のほか「貴乃花光司」でテレビ出演も可能。
▽退職金 協会関係者によると約1000万円。協会の規約によると親方としての勤続年数や理事などの役職を務めた年数によって算出される。貴乃花親方は理事を4期8年務めたが、勤続15年と定年まで20年近く残しての退職。
▽テレビ出演 協会員の間は相撲協会への申請が必要だった。今年1月には協会に無許可で出演して注意を受けていたが、今後は本人または事務所と交渉して出演料も設定できる。
▽貴乃花部屋 江東区にある部屋建物を拠点に生活する。土俵もあるため、9月25日の退職会見では普及のための相撲教室を開催する可能性を明かしていた。部屋関係者によると「看板は外さないと聞いています」。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181001-00000256-sph-spo
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