日本相撲協会が元横綱、貴乃花親方の退職と、貴乃花部屋の力士の千賀ノ浦部屋への移籍を承認しました。これにより貴乃花部屋は消滅、幕内優勝22回を誇る“平成の大横綱”貴乃花が日本相撲協会を離れるという事態になりました。
貴乃花親方はなぜ、相撲協会を“追われ”なければいけなかったのか? 作家・スポーツライターの小林信也氏は、今回の一連の騒動とそれをめぐる協会の対応は、組織的なパワーハラスメントだと指摘します。(文=小林信也)
協会側の対応、言い分は誠実と言えるのか?
貴乃花親方が日本相撲協会を離れることになった。
1日の臨時理事会で、貴乃花部屋力士ら十名の移籍が認められ、貴乃花親方の退職が受理された。その後の記者会見で、八角理事長は「残念だ」と語り、
自分たちは様々な手を尽くしたが、貴乃花親方が応じなかったため、直接面談できず、この結論に至ったと説明した。
協会側の言い分を「正当」と見なすメディアや記者たちは、「貴乃花親方は大人げない」「協会の判断はやむをえない」との報道姿勢を取っているが、本当にそうだろうか?
間違いない事実は、22回の優勝を誇り、一代年寄りを認められたほど日本相撲協会に貢献した貴乃花親方が角界を去るということだ。
若貴フィーバーがなければ、いま相撲はここまで人気を永らえていただろうか。あの時代、老若男女を問わず相撲に関心を引き寄せたのは若花田のちの若乃花、
貴花田のちの貴乃花の活躍があったからだ。その名残が、いまも相撲を身近に感じる人が日本に多く存在する大きな理由ではないか。
一代年寄は、これまで大鵬、北の湖、千代の富士、そして貴乃花の四人だけに許された(千代の富士は辞退)。
言うまでもなく、時代時代を代表する大横綱にだけ与えられる栄誉であり、感謝の印でもあるだろう。その宝を角界から追い出した罪は重い。
追い出したと言えば異論もあるかもしれない。だが、全体を俯瞰すれば、日本相撲協会による、貴乃花親方に対するパワーハラスメントではないか、
少なくとも貴乃花親方は切実にそう訴えていたが、協会はほとんど言下に否定し続けた。その態度が、公益法人として誠実と言えるだろうか。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181002-00010000-victory-spo
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