鹿島の元日本代表FW金崎夢生(29)が鳥栖に完全移籍することが24日、発表された。鹿島で過ごす最後の日となったこの日、雨も降っていないのに、クラブハウスの駐車場に停車してある金崎の車のワイパーは、不自然に直立していた。
見つけるなり「誰?」と探って見事に当てた犯人は、DF内田篤人(30)。最後のいたずらだった。
最もクラブハウス寄りの停車位置。ほぼ毎日、金崎の車はここに停めてあった。クラブからリリースが発表される前、そこで「信頼しているからね」と念押してから、移籍について思いを話してくれた。「新しいチャレンジをしたいという強い気持ちがあって」と。
鹿島に所属した期間は3年半。この年月は、プロ入り後に一つのクラブで過ごした最長年月だった。「3年半いたのは、充実感がそれだけあったから」。世間ではおちゃらけた印象が強いかもしれないが、思い入れのあったクラブからの去り方はとても誠実だった。
「一生懸命、残ってくれるように説得してくれた。それでも新しいことにチャレンジしたいという意志を尊重してくれた」。自身を強く慰留してくれたことを、きちんと報じてほしいと頼まれた。
そして「クラブに悪いようにはしないでね」と、発表前に報道してクラブに迷惑を掛けないようにしてほしいという由も念押しされた。
金崎がポルティモネンセから鹿島に期限付きで移籍したのは15年の2月。当時、クラブは12年のナビスコ杯(ルヴァン杯)を最後に国内主要タイトルから遠ざかっていた。「夢生が入ってくる前は闘争心が何となく薄れていて。
夢生が起爆剤となって活躍してくれて、タイトルを取れた」と鈴木満常務取締役強化部長は振り返る。金崎は在籍期間に3つものタイトルをチームにもたらした。
29歳にして衰えない走力。ゴールへの嗅覚。守備での献身。ゴールという数字に表れないところでも、評価されているポイントは高かった。
金崎の言葉通り、クラブとしてはもちろん強く慰留した。シーズン途中での放出は痛手で避けたいものだった。それも全て飲み込んで、最後は「新しいことにチャレンジしたい」という本人の思いを尊重した。
「残念だけど、これまで夢生がうちで活躍して残してくれたものには感謝している。夢生の将来もあるし、意見を尊重してあげたい」と同氏。練習の最後には握手をかわして感謝の言葉を伝え、激励して鳥栖に送り出した。
金崎の車の停車位置がいつも最もクラブハウス寄りだったのは、毎日一番乗りで練習場に来ているからだった。ぽっかりと空いた定位置。そこに座ることができる若手は、鹿島にたくさんいる。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180724-00000155-spnannex-socc
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