第100回全国高校野球選手権大会は21日に決勝戦が行われ、大阪桐蔭(北大阪)が13―2で金足農(秋田)を下し、史上初の2度目の春夏連覇を達成した。金足農のエース・吉田輝星(こうせい=3年)は中盤に集中打を浴びて5回132球、
12失点でついに降板。秋田に優勝旗を届ける夢はかなわなかった。しかし、6試合で881球、県大会の636球を含め今夏合計1517球を投じた鉄腕の今後の動向にプロはもちろん、アマ、メジャーまでもが注目。
争奪戦は必至の状況となっており“金農(かなのう)フィーバー”はまだまだ続きそうだ。
大阪桐蔭の猛攻を止められなかった。5回に根尾(3年)にバックスクリーンに叩き込まれるなど、7本の長短打を浴びて6失点。地区大会から1人でマウンドを守ってきた絶対エースはついに6回から打川(3年)にマウンドを譲った。
無念の吉田は「4回あたりから下半身が動かなくなった。上体に力が入ってまったくいい球がいかなかった。最後まで投げて勝ちたかった。
大阪桐蔭の打線は思い描いていたものよりはるかに上だった。どこに厳しい球を投げても打たれた。力が足りなかった」と悔し涙を流した。
それでも大舞台で881球を投げ込んだ鉄腕ぶりと、全国の強打者たちを手玉に取った150キロの伸びのある直球、そしてスプリット、スライダーの変化球の切れ味は強烈な印象を残した。
気になる今後の進路だが、関係者によると吉田は八戸学院大への進学を希望しているという。しかし、これだけの実力とスター性を併せ持つ逸材だけに当然、周囲は放っておかない。
プロスカウトも「プロでやっていくだけの素質を十分兼ね備えている」(日本ハム・山田正雄スカウト顧問)、
「軽く投げた時でも全力で投げた時でも変わらないキレと制球力がある。プロでもほとんどの投手ができていない部分」(中日・中田宗男編成部アマスカウトディレクター)、
「伸びしろよりも今の完成度が高い。いわゆる即戦力」(阪神・畑山俊二チーフアマスカウト)と絶賛するだけにプロ志望届を提出すれば、争奪戦となるのは間違いない。
さらに「あくまで進学」というのなら、東京六大学も黙ってはいない。早大の大物OBは日本ハム・斎藤佑樹を引き合いに出しながら「斎藤どころじゃないよ。ボールの勢いが全然いいし、心も体もできている。力を抜いて抑えることもできている。
斎藤とは比べ物にならない。プロはもちろん、東京六大学も欲しがるでしょ。早大ももう誘っているんじゃないか。地元(東北)の大学じゃもったいないから争奪戦になる」と見ている。
2006年夏、早実を優勝に導いた斎藤は“ハンカチ王子”として甲子園のアイドルとなり、早大に進学。東京六大学でも人気を博した。
しかし、その後の早大はスター不在に苦しみ、甲子園を沸かせた清宮幸太郎(早実→日本ハム)の入学もかなわなかった。ここ数年はリーグ戦でも低迷しているだけに、名実ともに申し分ない吉田を何としても獲得したいところだろう。
そして、メジャーだ。あるスカウトは「肩も強いし、勝負根性も強い。進学するといっても気持ちは変わるもの。いい話を見たり聞いたりしたら無視はできないし、花巻東の大谷翔平(現エンゼルス)みたいに周りの人間が説得にかかる。
すごい条件を出されると本人も親もぐらっとなる。若い子は4~5年先のことより早く夢をかなえたいと思うもの。学歴が欲しいなら早大、慶応、明治とかに行くんじゃないか。
背は大きくはない(176センチ)が、球威があるからメジャーだって十分スカウティングの対象になる。メジャーからの話もあると思う。スプリットを投げる投手は打てないからね」と熱視線を送っている。
大谷は12年にメジャー挑戦を表明しながらもドラフトで日本ハムに強行指名され、説得されて入団を決めた経緯がある。吉田も進学を希望しているとはいえ、条件と説得次第で翻意する可能性は十分あるというわけだ。
プロ、アマ、メジャーを巻き込んでの争奪戦。今後について、吉田は「野球は続けたい。進路はまだ考えていない。優勝はこれからの野球人生の目標にしたい」と明言を避けたが、これから周辺は騒がしくなる。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180823-00000007-tospoweb-base
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