(セ・リーグ、ヤクルト3-2阪神、14回戦、阪神9勝5敗、17日、神宮)奇妙な回転がかかった小フライが舞い上がる。あぁ…。
虎党の誰もがため息をつく。二塁・山田哲が中谷の打球をワンバウンド処理し、一塁送球でアウトにした後、一走・梅野が一、二塁間で挟殺。最悪の併殺に金本監督は腕組みし、口をとがらせた。
「ノーサインだから。迷いもクソもないでしょ。こっちは『打て』といっているんだから。あそこをファウルするとかしないと、やっぱり彼の先は見えないわね」
1点を追う七回、先頭・梅野が四球。六回途中から中堅に入れていた中谷の第1打席だった。
送りバントのサインはなし。しかし、燕の右腕・梅野の初球、真ん中直球を見送り、次は内角直球をしゃくり上げるように逆方向へ-。中途半端な打撃で同点機も追い上げムードも消滅した。
「もうこんだけ、あれだけ見え見えで投げてきて、それを打ち返せないというのは…」
内角を苦手とする中谷には、逆転の発想を教えてきた。昨季20本塁打をマークし、相手がさらに内角を突いてくる。だから、それを狙い打て。
ヒットゾーンに飛ばせずとも相手に迷いを生じさせることができれば、しめたもの。それがプロの世界で長く飯を食うための条件だ。それだけの能力があると信じているからこそ、厳しい言葉になった。
「レギュラーを獲る力はあるんだけど、守れるし…そこだけよね。そこをクリアしないと、プロ野球ではな…」
打線は4試合連続2桁安打も2点止まり。勝てば2位浮上も失敗した。秋風が吹く中、中谷は無言で引き揚げた。もどかしさだけが残っていた。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180818-00000019-sanspo-base
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