「阪神2-4巨人」(17日、甲子園球場)
あと数十センチ、届かなかった。2点を追う九回2死満塁、阪神・梅野隆太郎捕手(27)の放った打球は、逆転サヨナラ満塁弾を期待させる大飛球。
しかしフェンスは越えず左翼手のグラブに収まった。梅野は五回1死満塁でもフェンス直撃の左中間2点二塁打を放ち意地を見せた。宿敵に後半戦連敗スタートで、首位・広島とは9ゲーム差。確かに見えた兆しを、真の反発力へ。正念場を迎えた。
何度その白球に夢を乗せただろう。試合には負けた。それでも…。梅野が放った打球は希望となり、明日への力となった。やられっぱなしでは終わらせない。反撃の2点が刻まれると、“梅ちゃん”スマイル爆発。左腕をまっすぐに猛虎ベンチへ向け、虎党を、ナインを奮い立たせた。
2点を追う九回、最後の打席だった。2死満塁。五回と同じようなシチュエーションが頭をよぎる。今度はファウルでじっくり粘り、そして8球目をはじき返した。またしても大きな打球が左翼後方へ。今度は、ジャンプした亀井のグラブに収まった。阻まれた夢の満塁弾。快音を残して、チームの敗戦が決まった。
諦めたくなかった。選手会会長として、16日には西日本豪雨災害を受けた募金活動を呼びかけた。6月18日に大阪北部で発生した地震の際にも選手会で話し合い、率先して立ち上がった。「できることをと思っているんだけどね。
でも僕たちは元気を与えないと、勝つことが一番だよね」。募金と共に集まったのは、たくさんの声援でもあった。胸に秘めるのは、いつも応援してくれるファンへの恩返し。勝利を届けたかった。
だからこそみんなでつないだ好機に、覚悟は決まっていた。0-4の五回1死満塁。絶好の場面で、その打席は巡ってきた。沸き上がるスタンド。
大声援を背に、梅野の思いは一つだった。「ヒットも出ていなかった中で、流れを変えたいと思っていた」。その4球目。高めの直球をフルスイングで捉えると、左中間フェンス直撃の2点二塁打に。もう少しで満塁弾となる大きな一撃で、チームに勢いをもたらした。
明暗を分けた数十センチの壁。2度も期待を抱かせたがかなわなかった。それでも唯一、ヤングマンから打点を挙げた。
「チームの一員として、暗い雰囲気をなんとか盛り上げたいと思って」。五回に二塁から高々と掲げたガッツポーズは、自然にベンチへと向いていた。チームは後半戦を巨人に2連敗スタート。首位・広島とのゲーム差は広がるばかりだ。選手会長の強い願いが、今度こそ白球に夢を乗せる。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180718-00000023-dal-base
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