それでも来季続投でいいのか。阪神は8日のヤクルト戦(神宮)に5-6で敗れ、野村克也監督時代の2001年以来、17年ぶりのシーズン最下位が決まった。この日も序盤に6点リードを許し終始劣勢、終盤の追い上げも届かなかった。球団幹部は就任3年目の金本知憲監督(50)の来季続投を示唆しているが、試合後のスタンドからは首脳陣の責任を問う声が相次ぎ、今後さらに物議を醸しそうだ。(山戸英州)
「辞めろ! 替われ!」
「ヨシノブ(今季限りでの退任を表明した巨人・高橋由伸監督)は辞めたぞ!」
試合後、グラウンド上を三塁側フェンス沿いに歩いて引き上げる金本監督へ、熱狂的ファンから怒号が飛んだ。
大阪から駆けつけ、完敗した前日(7日)の同カードから2戦続けて観戦した男性ファン(17)は「特に金本監督、片岡ヘッド兼打撃コーチの2人に対するヤジがすごい」と証言。
一方で、今季出場機会が減っている鳥谷、奮闘する41歳のベテラン福留らには「来年も頑張れ」と温かい声援が飛んだという。
金本監督は「現実を受け止めないと。本当にファンには申し訳ない気持ち」と力なく謝罪の言葉を口にした。
谷本修球団本部長も「ファンの期待に沿えられなかった。またイチからやり直します」とざんげしたが、Bクラスが決まりクライマックスシリーズ(CS)進出の可能性が完全消滅した4日のヤクルト戦(甲子園)後同様、この日も「まったく変わらないです」と指揮官の来季続投方針を示唆した。
だが、17年ぶり最下位の現実は重い。しかも圧倒的な戦力不足に悩んでいた17年前とは違い、今季は故障や不振などの誤算はあったにせよ、推定年俸4億円の鳥谷、
同じく4億円の糸井、3億5000万円のメッセンジャーと球界年俸ランキング20位以内の選手を抱え、同3億4000万円の新外国人ロサリオも獲得し、優勝してもおかしくない戦力を整えていた。
今季はオープン戦(12位)、交流戦(11位。12位は楽天)、公式戦の全てでセ・リーグ最下位。不名誉な“3冠王”でもある。
実際、金本監督が今年7月に野球殿堂入り(プレーヤー表彰)を決めたことから、12月に球団主催の「祝う会」が大阪市内の高級ホテルで盛大に行われる予定だが、
「チームが最下位となってはさすがにバツが悪い。取りやめはともかく、規模の縮小は検討しなければならないと思います」(球団関係者)との声が上がっている。
それでも球団幹部から「監督退任」の声が上がらない理由は、昨季オフ新たに3年契約を結び直したことがひとつ。
そして3年前の就任要請の際、球団が渋る金本監督を「1回(チームを)壊してでも立て直してほしい」と説き伏せ、指導者経験なしでユニホームを着させた経緯もある。
「監督の意向に添って当時の球団社長を退任させ、フロントを刷新して三顧の礼で迎えた切り札だから」(前出の球団関係者)といわれる。
また、仮に監督交代となった場合、後任候補に挙がるのは、矢野燿大2軍監督(49)、掛布雅之オーナー付きシニアエグゼクティブアドバイザー(SEA、63)、元監督の岡田彰布氏(60)といったところだが、いずれも難点を抱えている現実がある。
矢野2軍監督は今季、就任1年目でウエスタン・リーグ優勝に続き、巨人とのファーム選手権(6日=宮崎)も制した。その手腕は高く評価されているが、金本政権発足と同時に入閣した経緯があり、「本人は金本監督と一連托生の覚悟ではないか」(チーム関係者)とみられている。
掛布氏は昨年まで2年間2軍監督を務め、自主性を重んじた指導が選手に好評だった。現役時代は4番として日本一に貢献し、人気、知名度はいまだに全国区。営業面を考えても大きなプラスとなる。
半面、「プライベートで弱みが多く、2軍監督時代も足を引っ張る関係者がいたほど。1軍指揮官となれば、もっと集中砲火を浴びる可能性が高い」(前出チーム関係者)と心配される。
岡田氏は05年にリーグ優勝に導き、在任5年でAクラス4度と抜群の実績を誇るが、現球団幹部の中に強硬な反対派がいて、ハードルは意外に高いという。
とはいえ、古参の球団フロントは「ともかく、これまで20年近く最下位に転落したことがなかったんだから(金本監督の)責任は大きい。うちは巨人同様、
『世論』を最も気にする球団だからね…」と指摘。この言葉が意味する通り、坂井信也オーナーから正式な続投発表があるまで、予断を許さない状況は続く。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181010-00000019-ykf-spo
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