毎年9月、Appleが最も力を入れている製品を発表するApple Special Eventにおける主役といえば「iPhone」だが、最も進化し、また今後、われわれの生活を大きく変えていく可能性を持っているのは「Apple Watch」なのかもしれない。9月21日発売の「Apple Watch Series 4」は、最初のモデルが発表されて以来、初めてケースの形状やディスプレイのサイズを変えたフルモデルチェンジだ。
事前に「ディスプレイがケースギリギリまで大きくなること」は伝えられていたが、まさか腕時計としてもスマートウォッチとしても、ここまで進化しているとは想像できなかった。
Apple Watchにとって大きなターニングポイントとなる製品であるとともに、「ウェアラブルデバイス」というジャンル全体に大きく影響を与え、市場環境を一変させるかもしれない。
“腕時計+α”から“身に付けるスマートデバイス”へ
腕時計というジャンルは、常識的にいえば「ファッション」のジャンルで紹介されるものだ。例えばそれがスマートウォッチ(しかも電子ディスプレイを備えたディスプレイウォッチ)であったとしてもだ。
初代Apple Watchの登場は、エレクトロニクス製品業界の巨人参入ということもあり、腕時計の業界にインパクトを与えた。FOSSILは自社ブランドを含め多数の提携ブランド(DIESEL、SKAGEN、MICHAEL KORS、MARC JACOBSなど)でスマートウォッチを展開し、
TAG HEUERはスポーティーなクロノグラフ、LOUIS VUITTONは旅をテーマにした高級スマートウォッチを発売した。
もともとデジタルの領域に近かったカシオ計算機はアウトドア、トレッキングをテーマに独自で進化を重ね、
GARMINは特定のスポーツジャンル(ランニング、トライアスロン、ゴルフ、サーフィンなど)を掘り下げて一気に世界有数の時計メーカーへと登り詰めようと必死だ。
スマートフォンのコンパニオン機器でもあるスマートウォッチは、Appleのライバルと見なされているSamsungも継続的に取り組んできている。
しかし、そんな中でApple Watchは圧倒的な存在感を示してきた。米調査会社IDCによると、昨年末の商戦期にAppleが「Apple Watch Series 3」を発売すると、
世界で3カ月間に約800万本が販売され、スマートウォッチでのシェアは60%を超えたという。通年でも1770万本となり、今年は2000万本を超えることが間違いないとみられていたが、
Apple Watch Series 4の改良を見る限り、そうした楽観的な予想も大きく超える可能性がありそうだ。
Apple Watch Series 3で売り上げが急増した背景には、全く新しいタイプの製品だったスマートウォッチに対する理解が市場の中で進んだこともあるが、
内蔵プロセッサの強化やメモリの増加、それにLTE通信の対応など“単独で動作する機能”が増加し、
さらには盤面に情報を表示する「コンプリケーション」がサードパーティーに公開されるなど、個人に最も近いコンピュータとしての役割が明確になったことがあると思う。
すなわち、これまでは腕時計をコンピュータと通信サービスによって進化させる“腕時計+α”、あるいはスマートフォンに集まる情報をのぞき見たり通知を受けたりといったシンプルな拡張と見なされてきた製品が、
ここに来て“腕時計スタイルの製品自身がスマートデバイスとして自立をし始めた”のがApple Watch Series 3だったと思う。
そしてApple Watch Series 4では、そうしたApple Watchとして積み上げてきた基礎を踏襲しつつ、2点で大きく飛躍した。
一つは“身に付けるデバイス”としての基本。すなわち装着感やデザイン性。とりわけデザイン性は、広がったディスプレイエリアを巧みに使いこなしている。
そしてもう一つは、従来の腕時計ではなくApple Watchを選び、“身に付けるべき理由”を強化し、また増やしたことだ。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180919-00000099-zdn_pc-prod
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