政府・与党が、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の酷暑対策として、夏の時間を2時間繰り上げる「サマータイム」の導入を検討していると報じられています。サマータイム導入については、ITシステムの改修作業が発生する、健康への悪影響がある――など、さまざまな批判の声が出ていますが、ネット上ではこんな指摘も出ています。
それは「電波時計が狂うのではないか」というものです。一体どういうことなのでしょうか。情報通信研究機構(NICT)、電波時計の国内メーカーに聞きました。
「『何時間ずらすか』は想定していない」
電波時計は、NICTが運用している標準電波(JJY)を受信し、時間のずれを自動修正しています。この電波には、時、分、通算日、年(西暦下2桁)、曜日といった情報に加え、将来何らかの情報を付け足して送信するために「予備ビット」が設けられています。
この予備ビットを使い、サマータイム(夏時間)の情報を送信できることは、NICTのWebサイトでも紹介されています。
ただ、送信する情報は(1)6日以内に夏時間への変更なし、(2)6日以内に夏時間への変更あり、(3)夏時間実施中、(4)6日以内に夏時間終了――のみ。「『何時間ずらすか』を送信することは想定していない」といいます。
そもそも「(この方法は)告示などで正式に決まっておらず、標準電波をどのような形で送信するかも決まっていない」と、NICTは説明しています。「電波時計の時刻合わせ機能が引き続き使用可能かは現時点では全く不明です」(NICT)
メーカー側の見解は?
一方、時計メーカーのセイコークロックは「JJYの信号次第ですので、受信端末(時計)側が対応可能かは現時点ではお答えできません」と説明します。シチズン時計も「標準電波の信号に、どのような形でサマータイム情報が含まれているかによる」といいます。「現状、サマータイムが+1時間となるのか+2時間となるのか、また標準電波にどのような形でサマータイム情報が含まれるか決定していない状況ですが、製品については何らかの対応は必要になる可能性が高いと想定しています」(シチズン時計)
カシオ計算機は「日本国内の時間は正しく表示できたとしても、ワールドタイム(世界各地の時刻)を誤って表示する可能性がある」とも指摘します。
同社の製品には、サマータイム設定機能が付いているものがあります。例えば、標準電波に「サマータイムを実施している」「(その上で)現在は午前10時」という情報が含まれているとすれば、
日本の時刻はそのまま午前10時と表示できますが、ワールドタイムは(日本が導入している)サマータイムによるずれを考慮して表示する必要があります。
しかし、世界各国のサマータイムは「1時間繰り上げる」ことが一般的なので、カシオ計算機の製品は「サマータイムがオン」という情報を受け取っても「1時間繰り上げられている」として反映させる設定になっています。そのため、政府が検討しているという「2時間の繰り上げ」の場合、ワールドタイムを1時間分しか補正してくれず、残りの1時間分、ずれが生じるといいます。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180809-00000057-zdn_n-sci
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