不慮の事故について、小児科医で緑園こどもクリニック(横浜市)院長の山中龍宏さんに聞きます。(聞き手・萩原隆史)身の回りの製品による事故の中には、その製品の性質を知っているかどうかが予防のカギになる場合が少なくありません。
ある夜、生後2か月の男児を床に寝かせた母親が、同じ部屋で爪のマニキュアを落としていました。男児は12時間以上寝ていましたが、起きた時には母乳を吸う力が極端に弱くなっており、嘔吐(おうと)も繰り返しました。
様子がおかしいため医師に診てもらったところ、血液検査などからアセトン中毒と診断されました。アセトンは有機溶媒の一種で、マニキュアを落とす除光液に含まれていたものです。
揮発しやすい液体ですが、蒸気は空気の2倍も重く、低い場所にたまります。つまり、床で寝ていた男児はアセトンを含む空気を一晩中吸っていたことになります。
男児は入院後回復し、4日で退院できましたが、大量に吸えば意識障害を引き起こすなど危険な物質です。
では実際、男児が吸ったのはどれぐらいの濃度だったのでしょう。再現実験をしました。
美容専門学校の協力で、除光液の平均使用量を割り出し、閉めきった部屋で揮発させました。すると、座った母親の鼻の高さ(床上70センチ)に比べ、
床に寝かせた乳児の鼻の高さ(同10センチ)での濃度は13倍にも達することが判明しました。
近年、女性の間でネイルアートが盛んなため、同じ中毒が発生するリスクがあります。アセトンの蒸気が床にたまることを知らないと、幼い子を危険にさらすことになりかねません。
アセトン不使用の除光液も出回っていますが、含有する製品を使う場合は十分に換気し、拭き取ったティッシュやコットンもそのままゴミ箱に捨てず、すぐに密封して処分するなどの対策が求められます。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181006-00010000-yomidr-sctch
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