急逝した沖縄県の翁長雄志知事が期待する後継者として玉城デニー衆院議員らの名前を挙げた音声を巡り、与野党で波紋が広がっている。
県政与党関係者によると、音声を聞いたのは新里米吉県議会議長一人で、与党会派のおきなわは音声の公開を求めているが新里氏は応じていない。かたくなに開示を拒む姿勢に自民党からも「本当に音声はあるのか」といぶかる声さえ上がる。(政経部・大野亨恭、上地一姫)
「開示されるまで調整会議には参加できない」。会派おきなわの赤嶺昇県議は21日、改めて音声の公開を求めた。その存在が注目される中「あることを示すことが玉城氏のためになる」と語る。
だが、新里氏は出張先の東京で記者団に、音声の提供者が望んでいないとし、「要望があるからといって公開できる話ではない」と重ねて否定した。
与党関係者によると音声は確実に存在するが、明かせない事情があるという。
「音声には金秀グループの呉屋守將会長の名前が入っていない」と、ある関係者は打ち明けた。翁長知事が病院で後継者について語り始めたとき、真っ先に出た名前が呉屋氏だったが、録音が間に合わず、音がとれなかったという。
別の関係者によると、録音した遺族関係者が新里議長へ音声データを渡す際、「音にはないが、呉屋氏にも期待を寄せていた」と伝え、その後の調整会議で両氏への要請を決めた。
与党関係者は「知事が玉城氏へ期待を寄せていたのは間違いない」と断言。ただ、「音声が一人歩きすれば呉屋氏の名前がないなどと騒ぎになり、収集がつかなくなる」と懸念を示す。
自民県議の一人は「呉屋氏の名前は結局伝聞でしかない。公開もできない曖昧な音声で知事選を戦うのか」と疑問を投げる。
玉城氏は21日夜、後援会の会合を開くなど出馬に向け準備を進めている。自民党関係者は玉城氏を「知名度もあり手ごわい相手だ」と評する。短期決戦に必要な後援会組織があり、メディアへの露出で無党派層への浸透があるためだ。
一方、政府関係者は「闘いやすい相手だ。保守がまとまることができる」と喜ぶ。前知事選は保守層が切り崩されたが、その懸念は薄いとみる。
急転直下、玉城氏の擁立が固まったが自民関係者は「オール沖縄は翁長氏だからつくることができた」と指摘。県連幹部は「オール沖縄は翁長知事が腹八分でまとめた繊細な芸術品。玉城氏の色が出た組織をつくらなければ、支持者は燃えないだろう」と見通した。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180822-00302275-okinawat-pol
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