進次郎の石破支持自民党総裁選は安倍総裁三選で終わった。
今回キーマンとして注目されたのが、「総理にしたい政治家NO1」の小泉進次郎氏だ。
拙書『小泉進次郎 日本の未来をつくる言葉』(扶桑社新書)の中で、私は、総裁選について周辺が語った「(小泉氏は)相当(自分の立ち位置を)発信して安倍さん以外に投票するのではないでしょうか」という言葉を、紹介した。
私自身も、当時の小泉氏の安倍政権に対する姿勢・言動から、小泉氏は早い段階で石破氏支持を明らかにするであろうと予想した。
小泉氏が2021年に勝負をかけるのであれば、党内の「健全な批判勢力」として、戦う姿勢を明確に示すことが必要だと考えたからだ。
実際、小泉氏がもっと早く石破氏支持を表明していれば、拮抗した党員票はかなり石破氏に流れたのは想像に難くない。
「男を下げた」?
さらに、小泉氏の父・純一郎氏の2001年総裁選の熱狂を、私が夢想しなかったと言えばウソになる。しかし小泉氏は予想を裏切り、総裁選が事実上スタートしてからも沈黙を貫き、2度外遊に出て総裁選から距離を置いた。結局石破氏支持を表明したのは、投票開始のわずか10分前。
この行動は、石破陣営から見れば肩透かし、安倍陣営からすれば「寝てくれただけ」という、どちらからも評価されない結果となった。
さらにメディアをはじめ、国民の間にも「どちらにもいい顔をした」「男を下げた」との批判の声が上がった。
小泉氏がこうした決断を下した背景には何があったのか。
総裁選直後、永田町には様々な情報が飛び交った。「官邸が干し上げると恫喝した」「官邸から『海外に姿を消していれば石破と書いてもいい』と言われた」など。
私は小泉氏の真意を読み取るべく、小泉氏が総裁選後に自らのHPに掲載した、記者団のぶら下がり取材の一問一答を何度も読み返した。
そして決断の理由を、小泉氏自身がはっきり語っていることがわかった。
「武器を持たない戦争みたいなもの」
まずこれまで沈黙していた投票先を、なぜ表明したのか聞かれた小泉氏は、こう答えている。「今回、率直に言いまして、いろんな情報戦がありました。やはり、この総裁選挙というのは、政治の世界の戦ですから。私は、武器を持たない戦争みたいなものだと思っています。その過程の中では、本当に様々なことがあります。
だから、日々、変わるんです。で、それに対して、どうやって自分を、こう生き抜いていけるようにするか。そういったこともふくめて非常に学びのある総裁選でしたね」
私は小泉氏がニューヨークの大学院生であったころからこれまでの軌跡を著書にまとめた。
その中で小泉氏は、農業改革やこども保険など政治の修羅場や闘争を何度も経験してきたが、ここまで「戦い」という言葉を連発する小泉氏を聞いたことが無い。「政治の世界、これ戦ですから。なんでもありますよ。脅しだって。すかしだって」
小泉氏が国民から愛される理由は、「歯に衣を着せない物言い」のほかに、未来を熱く語る、時として青臭くも感じる言葉にあった。しかしこの言葉から見えるのは、老獪で冷徹、したたかに政界を生き抜く政治家の姿だ。
さらに私が最も聞きたかった、「石破氏を支持するのであれば、もっと早いタイミングで支持するべきであった」との声があることについてはこう答えている。
「仮に、私がもっと早く表明していたとしたら、私の望む形にならなかったと思いますね。表明しなかったからこそ、2人だけの違いとか、論争、そういったものに、注目が集まったんじゃないかなと思いますよ。だって、私、バッターボックス立っていませんからね。
バッターボックス立っていないのに、テレビカメラが、ずっとネクストバッターズサークルとか、ベンチを映しているのはおかしいでしょ。
バッターボックス立った人にちゃんと脚光を浴びせるべきだし、その2人が総理大臣を狙って戦ったわけですから。その2人の議論というものを、多くの国民に見て頂きたいと」
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180928-00010006-fnnprimev-pol
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