20日実施の自民党総裁選では、石破茂元幹事長が国会議員票(405)で事前の予想を上回る73票を獲得し、連続3選を決めた安倍晋三首相(総裁)の陣営には衝撃が走った。陣営の集会に集まった国会議員よりも首相の票数が少なかったためだ。ステルス(隠密)で石破氏に投票したのは誰か。首相陣営では疑心暗鬼が広がっている。
「『カレーライス事件』はありましたが、大勝することができました」
21日、首相陣営の選対事務総長を務めた甘利明元経済再生担当相は麻生派(志公会)会合でこんな挨拶をした。
総裁を選出する両院議員総会の直前に首相陣営が開催した出陣式では333食分のカツカレーが出たのに、首相の国会議員票は329だったことから、カツカレーの数よりも票数が少なかった、と甘利氏は強調したのだ。
下馬評では、石破陣営が固めた国会議員は、石破派(水月会)20人と参院竹下派(平成研究会)の18人に、無派閥議員らを合わせて50人程度とみられていた。なぜ20人以上も増えたのか。
まず挙げられるのは、参院竹下派幹部の切り崩し工作だ。関係者によると、同派の石井準一参院議員らが「やるからには本気で戦う」と意気込み、参院の無派閥議員らに石破氏の支持を求めた。このうち数人の議員が要請に応えた可能性があるとされる。
小泉進次郎筆頭副幹事長が、投票直前に石破氏の支持を表明した影響も大きいという。首相を支持する細田派(清和政策研究会)や岸田派(宏池会)にも小泉氏に近い若手議員が複数いる。
岸田派は、会長の岸田文雄政調会長に総裁選出馬を促す若手議員も多かったことから、派の幹部は「刃こぼれ」がなかったか神経をとがらせている。
党員・党友票について、各都道府県連が行った開票作業を通じて石破氏が伸ばしていると伝わってきたことも、議員の最終決断に影響を与えた可能性がある。
石破陣営は、首相陣営にいながらも考えが石破氏に近い議員らを個別に口説いた。この中から土壇場で石破支持を決断した議員もいたという。
甘利氏は20日、「党内融和を図るには絶妙な結果だった」と総裁選を振り返ったが、じくじたる思いもあったに違いない。(原川貴郎)
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180921-00000661-san-pol
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