防衛省は、南西諸島防衛強化の一環で陸上自衛隊が導入する垂直離着陸輸送機オスプレイについて、今秋に予定していた米国からの納入を延期する方針を固めた。
現行計画の配備先である佐賀空港(佐賀市)や、暫定配備地として検討している陸自木更津(きさらづ)駐屯地(千葉県木更津市)の受け入れ環境が整わないためで、納入は年末以降にずれ込む。
地元との調整がさらに難航すれば、政府が目指す平成33年度の配備に影響が生じる可能性もある。
政府関係者が22日、明らかにした。防衛省は30~33年度の4年間でオスプレイ17機を導入し、佐賀空港に配備する計画を進めている。
今年3月に陸自相浦(あいのうら)駐屯地(長崎県佐世保市)で新設した離島奪還部隊「水陸機動団」の主力輸送機として、南西諸島防衛の即応力を強化する狙いだ。
17機のうち、今秋にも最初の5機が米国から納入される予定だった。しかし、2月に陸自のAH64D戦闘ヘリコプターが佐賀県内で墜落したことなどで配備に向けた交渉は難航。
8月には国が県に着陸料として20年間で計100億円を支払うことで合意し、佐賀県知事は受け入れを表明した。
しかし、地権者である県有明海漁協の了解は得られておらず、ノリ漁期が終わる来春までは本格的な協議に入れないのが実情だ。
佐賀空港の施設整備が間に合わないことから、防衛省は暫定的な配備先として、米海兵隊オスプレイの整備拠点がある木更津駐屯地を選定。
水面下で地元自治体などと協議を始めている。ただ、自治体や住民の理解を得るには一定の時間を要することから、今秋のオスプレイ納入は現実的ではないと判断し、受け入れの環境が整うまで米国に駐機させておく方針だ。
自衛隊幹部は「オスプレイを戦力化するには水陸機動団や海上自衛隊との合同訓練などが欠かせない。納入延期は訓練着手の遅れにも直結する」と指摘する。
その一方で、拙速に事を運んで住民感情を逆なですれば、配備計画自体が暗礁に乗り上げる懸念もある。防衛省幹部は「オスプレイは国民や地元の理解が最優先だ」と語る。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180923-00000001-san-pol
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