昨年の衆院選の投開票から22日で丸1年が過ぎた。議席をかけた与野党の攻防が先日のことのようだが、一部の当選者は、選挙戦で有権者に訴えた公約をすでに完全に忘れ去っているように映る。
小池百合子東京都知事が率いた旧希望の党公認で衆院選を戦い、比例代表で復活当選した無所属の小川淳也衆院議員=比例四国=が9月、立憲民主党会派に入った。
同じく旧希望の党から比例復活した今井雅人衆院議員=比例東海=も国民民主党に離党届を出し、今月16日に立憲民主党会派に入会を申請した。同党は今井氏の会派入りも認める方向だ。
国会法は比例代表で当選した議員の政党間移動を制限しており、小川、今井両氏は立憲民主党への入党はできない。このため、党籍は「無所属」のままで立憲民主党会派に入って国会活動を続ける道を選んだ。
いうまでもなく両氏は、投票用紙に「立憲民主党」ではなく「希望の党」と記した有権者の票によってバッジをつけている。だからこそ選挙で争った他党への移動が制限されている。
しかも、立憲民主党と旧希望の党の衆院選での公約は大きくかけ離れている。原発や消費税に関する主張に共通点はあるが、憲法や安全保障に対する姿勢は正反対に近い。
立憲民主党は、集団的自衛権行使を限定的に容認した安保法制を「違憲」と断じ、旧希望の党は「憲法にのっとり適切に運用する」と明記している。
国会法の趣旨に反した「抜け道」ともいえる会派移動がまかり通っているにもかかわらず、法改正の論議が起きる気配は与野党ともに皆無だ。投票行動をより正しく議席に反映させるための議論を始めようとしないことは、立法府の不作為にほかならない。
立憲民主党の枝野幸男代表は昨年10月の結党表明記者会見で、旧希望の党とは「理念や政策が異なる」と断言している。その政党の比例当選者を会派に受け入れることは、立憲民主党に期待を寄せた有権者への背信といえまいか。「まっとうな政治」の看板が泣いている。(松本学)
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181022-00000624-san-pol
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