事件や事故から夫婦問題まで様々なトラブルをジャッジしてきた菊地幸夫弁護士に視聴者からある相談が寄せられました。
それは…『無人ごみ屋敷』。
早速、取材班が大阪府八尾市にある問題の住宅に行ってみると、そこにあったのは平屋建て民家。
一見、ごみがあるようには見えなかったのですが…。
自治会長:
「中のほうはごみの山で、大変なんです」隣に住む人の家のベランダに上がらせてもらうと…。
隣家の女性:
「向こう…、汚いでしょ?」記者:
「土管とか、ごみがたくさんありますね」敷地内には、古い電化製品やら、ペットボトル、空き缶などなど、大量のごみが散乱しています。
隣家の女性:
「汚いからねぇ。ちょっとひどすぎますね」近隣住民によると20年以上前から敷地内にゴミがあふれるようになったといいます。
隣家の女性:
「玄関の戸が開かなくて、新聞みたいなのを一杯積み上げて…」この家には男性が1人で暮らしていましたが、今年8月に亡くなり、困ったことに現在『空き家のごみ屋敷』になってしまったというのです。
こんなにゴミがあると悩まされるのが…。
隣家の女性:
「とにかく臭いがたまりません。窓を開けたら臭いが入ってくるでしょ。今はあれやけど難儀しますよ、やっぱり」確かに家に近づいただけで、うっすらと臭いが。
自治会長:
「これでも少ない方なんですよ。夏場になったらもっとえげつないですからね。魚の腐ったような、えげつない臭いがするんですけど」ゴミが大量に放置されたままだと衛生面が心配。さらに、もし火事が起きたら…など、いろんな不安が残ります。
自治会長:
「身内が誰もいないということで、それが一番困っているんです。こういうほったらかしにされたら、近所の方に一番迷惑かかりますのでね。町内としても、早く片付けていただきたいです。菊地先生。我々住民は、大変困っております。いい方法があれば教えていただきたいなと思います。どうかよろしくお願いいたします」
Q.『ごみ屋敷』に住んでいた方が8月に亡くなり、近隣住民の方は「市が撤去して!しないなら自分たちで」ということを言いましたら、一方の八尾市側は「所有者が不明で、勝手に入って捨てるのはダメ」ということで、今何も出来ない状態ということなんですね。
菊地弁護士:
「なんで誰も手が出せないのかと言いますと、“財産”かもしれないからです。例えば『ごみ屋敷』と言っても、住んでいる方にとっては古いようでも『ちゃんとした領収書です』、『写真です』ということで、捨てられては困る“財産”かもしれないんですね。
じゃあそれを勝手に捨てちゃいましょうとなると、住居侵入とか、財産だとすれば器物損壊とか法令に触れてしまう可能性があるので、行政の方は勝手にやってもらっては困りますということになってるんだと思います」
Q.映像ではペットボトルや壊れた冷蔵庫もありましたが、あれでもダメなんですか?
菊地弁護士:
「一応、ごみとは思えるんですけど、中に勝手に入っていくというのは相続人の方がいらっしゃるかもしれませんので、ほかのお宅という扱いをしなくてはいけません」Q.行政側としても身内の方、相続人を探している段階で、所有者が不明なので立ち入ることが出来ない現状なわけです。となると、何も出来ないのでしょうか?
菊地弁護士:
「比較的最近できた、空き家対策特別措置法、通称“空き家法”という法律があります。ニュースでもご覧になった方がいらっしゃると思いますが、家が傾いている、危ない空き家を行政が解体することがあります。それは危ないだけではなくて、著しく衛生上有害となる恐れのある状態でも可能な場合があります。典型的な例が悪臭です。それがひどいような場合は行政側が空き家法に基づいて出ていけます。
では所有者が不明の場合どうなのかと言うと、それでも自治体が略式代執行と言われているような手続きで、行政が出ていこうと思えば出ていけるんです。ただし、“空き家”認定には最低でも1年の期間が必要なのではないかと考えられます。
今回のご相談では、今年8月に住人男性が亡くなったということで、まだ空き家の期間がちょっと短いんではないかと思います。空き家と言うには、ずいぶん長いこと誰も使っていないという状態が必要なんですね。それがだいたい行政の方では1年くらいですので、まだ時間足らずの可能性があります」
Q.となると来年の8月までは手を出せないということに?
菊地弁護士:
「そうすると、夏にまた悪臭が…となりますが、まだ行政が突入するには時間不足だと思われます。また別の手としては、弁護士に相続人を探してもらって交渉するということができます。我々弁護士は職務上の必要があれば、他の方の戸籍などを調べることが出来ます。
戸籍をたどっていって、相続人の方がいらっしゃったと言う時は、その方に『全部片づけろとは言いませんから、中に入ってごみを出すだけOK下さい』という交渉をして『いいですよ』となれば、少しお金はかかるかもしれませんが、ごみは全部撤去出来ます。
あるいは、相続人が不明の場合、相続財産管理人を裁判所に選任してもらってその管理人との間で交渉するという方法もあろうかと思います」
Q.行政が相続人などを探すことはできないんですか?
菊地弁護士:
「行政も戸籍などを調べている状況だと思います。ただケースによっては、お亡くなりになっている方が多いとか、なかなか見つからないということも中にはあるんですね」(関西テレビ10月17日放送『報道ランナー』内「そこが聞きたい!菊地の法律ジャッジ」より)
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181021-00010000-kantele-soci
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