「黒字廃業」という言葉をご存じでしょうか?儲けは出ているのに自ら会社をたたむことなんですが、ここ数年、増えているといいます。日本経済にとっても大きな損失で、
中小企業庁の試算では黒字廃業が増えるとこの10年間でのGDP(国内総生産)の喪失額は22兆円になるということです。黒字廃業が増えている理由と黒字廃業をなくすための取り組みを取材しました。
“痛くない注射針”で有名なあの企業も…
東京・墨田区。東京スカイツリーにほど近い場所にある有名な中小企業を山中真アナウンサーが訪ねました。出迎えてくれたのは、岡野工業の岡野雅行社長。
金属加工で世界的に高い技術力を持ち、国から「現代の名工」にも選ばれた超優良企業です。岡野工業を一躍有名にしたのは、医療機器メーカーのテルモと共同開発した“痛くない注射針”。今回、その製造工場を特別に案内してもらいました。
「空調いいでしょ、なかなか。ここは湿度と温度を一定にしないと管理できないんだ」(岡野社長)
Q.(その針は)他では作れない?ここでしかできないんですか?
「できない、ここでしか」インスリン注射が毎日必要な糖尿病患者の苦痛を軽減したい。その思いから開発したという注射針。ステンレス製の針の先端は、わずか0.2ミリの細さだといいます。山中アナウンサー、実際に針を刺してみます。
「痛くないからやってみな」(岡野社長)
「痛いですよー」(山中アナ)
「痛かったら車やるよ。びゅっと刺す」
「はい、いきます…痛くない!というか刺さっているのもわからない。全然痛くないです。嘘みたいですけど。痛くないどころか(針が)触れているのがわからない。もちろん血も出ないし」発想力と技術力で唯一無二の製品を作る岡野工業。しかし、会社を引っ張る岡野社長も今年85歳、ある問題に直面していました。
Q.お仕事はどれくらいまで続けようと思っていらっしゃるんですか?
「あと2年間。2年やったら辞めようかなと思っている。体が追いついていかないね。頭も。頭も追いついていかない」(岡野社長)
Q.そうすると次の後継者は?
「いない!」
Q.例えばお子さんは?
「女の子2人だから。嫁に行っちゃったよ」後継者がいないため、岡野社長は「2年後の廃業」を決断したのです。
Q.今も利益は出ている?
「出ているよ」(岡野社長)
Q.世界的に有名な岡野工業。廃業はもったいなくないですか?
「もったいなくないよ、やることやったんだら。世の中に尽くしたんだから、これ以上はいいだろう」引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180813-10000001-mbsnews-l27
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