多数の家屋が押し流され、12人が行方不明となっている広島県熊野町では角森(つのもり)奈々さん(44)が心肺停止の状態で土砂の中から発見された。
先月、奈々さんと婚姻届を出したばかりの夫、康治さん(54)は「いまでも信じられない」と泣き崩れた。奈々さんの子供2人と母親の行方は分からないまま。現場周辺では9日も消防などによる捜索が行われた。
「奈々がなんでこんな場所におるん」。土石流で元の場所から数十メートル先に流された熊野町川角(かわすみ)の奈々さんの自宅。8日午後に発見された奈々さんを前に、康治さんは立ち上がることができなかった。
島根県安来市に住む康治さんは今年1月に知人の紹介で奈々さんと知り合い交際を開始。先月14日には婚姻届を提出した。互いに再婚の2人は「『そんな歳じゃない』と恥ずかしがったけど、結婚式を挙げる計画を立てていた」という。
交際中から奈々さんと、長男で中学2年の美憲(みのり)君(13)、次男の健太君(2)、母親の青木裕子さん(71)の4人が暮らす熊野町の家に足を運び、「家族になってきた」と感じていた。近く、同居を始める予定だった。
7日は、健太君が通う保育園の音楽会に出席することになっていた。車で広島に向かっていた6日正午すぎ、奈々さんから「雨が強いから気をつけて」と電話があり、
午後8時12分には「自宅の前の水路があふれている」と無料通信アプリ「LINE」にメッセージが入っていた。「大丈夫か」と返信したが既読マークは表示されなかった。
捜索が続く中、現場周辺からは、アンパンマンのぬいぐるみが見つかった。3月に康治さんが健太君にプレゼントしたものだった。「4人全員が見つかるまで現場に通い続けたい」。涙が止まらなかった。(小松大騎)
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180710-00000571-san-soci
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