自民党総裁選から一夜明けた21日、3選を果たした安倍晋三首相は台風や地震への対応策に関する会議に相次いで出席するなど、本格始動した。
一方、石破茂元幹事長は国会内の議員会館であいさつ回りをした。そんな中、安倍陣営では出陣式で提供したカツカレーの数より議員投票数が少なかったことで“食い逃げ犯”捜しに躍起。悲願の憲法改正へ向け“激辛締め付け”が表面化した。
3選を決めた翌朝、安倍首相は官邸で行われた観光戦略実行推進会議に出席し仕事を始めた。災害を受け、外国人観光客のキャンセルが相次いでいることに「日本は安全だと、あらゆる手段で世界に発信する」と閣僚らに指示。表面的にはこれまで通りの仕事ぶりだが内心は穏やかなはずがない。
20日に行われた総裁選投開票前。安倍陣営は都内のホテルで開いた出陣式で、出席者に験担ぎのカツカレーを振る舞った。333人分のカツカレーを提供。
当然その人数がそのまま、首相の国会議員得票数になるはずだったが、いざ開票してみると、国会議員票は329票。4人が首相に投票せず、カレーだけを食べたことになる。
「昼食場に党籍がない議員が2人いた」などの話も浮上し情報が錯綜(さくそう)する中、陣営では「ただ食いは許さない」と造反者捜しに乗り出した。
この日、陣営の責任者だった甘利明事務総長が麻生派の会合で「“カレー事件”がありましたけど」と切り出すなど、早くも党内では“食い逃げ犯”の話題で持ちきりだ。
党全体からみれば4人は少数だが、陣営が“犯人”捜しをするのには、首相の悲願である憲法改正に向け、一人の離脱者も出せないとの考えがある。
憲法改正案を可決するには、衆参両院で議員の3分の2以上(衆院310、参院162)が必要だが、自民党の現有議席は衆院283、参院122。
単独では数が足りない。公明党や日本維新の会などの協力を得てもギリギリの状況。自民が一枚岩でなければ、他党の協力すら取り付けることは難しい。今回のカレー事件について永田町関係者は「安倍首相の求心力が低下している兆候」と話す。
総裁選中も安倍陣営は“激辛”の締め付けを行ってきた。すでに安倍支持を打ち出していた各議員に、態度を決めかねている議員や石破派議員への電話作戦を指示。
安倍首相への投票要請や切り崩しを行わせた。その成果についても毎日報告させたという。「やり過ぎ。嫌気が差した議員もいる」(中堅)といい、カレー事件につながったとみられる。
安倍首相はこの日、64歳になった。食い逃げ犯は誰だ!疑心暗鬼の中で迎えたバースデーだった。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180922-00000023-spnannex-soci
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