神奈川県座間市のアパートで昨年10月、男女9人の遺体が見つかった事件は、30日で発覚から1年を迎える。「動機はカネ」「乱暴目的もあった」。
強盗強制性交殺人などの罪で起訴された白石隆浩被告(28)は、知り合った若者を襲った手口を淡々と供述。自らの欲求を満たすため、金銭や食事に強い執着を見せる素顔が浮かび上がった。
今月下旬、犯行現場となったアパート周辺の人通りは少なく、時折通過する電車の音だけが響いた。事件直後、車道に積み上げられた花束は姿を消し、茶色く乾いた花のアレンジメントが1鉢、残っていた。
約1年前の昨年10月30日。ストーカー被害などを扱う警視庁人身安全関連事案総合対策本部と高尾署の捜査員2人は、男がアパート2階の部屋に入るのを確認。数日前、この男とツイッターで会う約束をした東京都八王子市の女性=当時(23)=の行方が分からなくなっていた。
捜査員の訪問にドアを開けた男は女性について「知りません」と答えたが、捜査員は6畳ほどの部屋の奥に、女性物のバッグが置かれているのを見逃さなかった。
問い詰められた男は落ち着いた口調で「この中です」と、遺体が収容されたクーラーボックスを指差した。捜査関係者は「多数の切断遺体が放置されているとは、誰も想像もしていなかった。もしあのとき、捜査員がバッグに気付かずに立ち去っていたら…」と振り返る。
白石被告は逮捕後、淡々と取り調べに応じ、具体的な殺害方法や動機を次々に供述した。「カネがほしかった」「犯行がばれると思い、殺害した」。
約5カ月間の鑑定留置を終えた今年9月、高尾署に移送された白石被告は、逮捕時に短く切りそろえていた髪を肩まで伸ばし、うっすらとひげも生やしていた。
「もう少し、外のメシが食いたかった」。捜査関係者によると、白石被告は留置場でこんな言葉も口にしていたという。起訴後に外部との接見禁止が解除されてからは、
面会に訪れた複数の報道関係者に「カネをくれたら事件について話す」などと金銭の差し入れを要望。使途を尋ねられると、「食べ物を購入したい」などと話したという。
白石被告は現在、立川拘置所で週に数回、報道関係者などとの面会に応じている。事件の全容は今後、裁判員裁判で審理される見通しだ。
●座間9遺体事件 神奈川県座間市のアパートで平成29年10月、当時15~26歳の男女9人の切断遺体が見つかり、警視庁が死体遺棄容疑で住人の無職、白石隆浩被告を逮捕。
ツイッターなどの会員制交流サイト(SNS)に自殺願望を書き込んだ若者を標的に、「一緒に死のう」などと誘い出す手口が波紋を呼んだ。政府は昨年12月、自殺を誘引する有害な投稿の監視強化などの再発防止策を決定した。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181028-00000563-san-soci
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