■薬物や心理療法、再犯防止へ整備
同種の犯罪を繰り返す傾向があるとされる性犯罪者や薬物犯、窃盗犯らの再犯防止策として、法務省が満期出所した元受刑者らに国費で薬物治療や認知行動療法を受けさせる制度を整備する方針を固めたことが4日、分かった。
来年度から実施の見通しで、特別な予算措置はせずに同省の予算でまかなう。犯罪傾向のある受刑者は刑務所内で再犯防止指導を受けるが、満期出所後は具体的な手当てがされていなかった。同省は体制整備で再犯抑制をいっそう推進したい考えだ。
国費による治療や認知行動療法の対象は、強制わいせつや強制性交等(強姦(ごうかん))などの性犯罪のほか、覚せい剤取締法違反などの薬物犯罪、窃盗などで服役した元受刑者となる。
新制度の対象になる罪を犯した人は、出所後に同種犯罪で再び収容される比率が高い傾向がある。平成27年版犯罪白書によると、7~26年に強姦罪で再び刑務所に収容された受刑者のうち、過去に27・7%が強姦罪で、7・3%が強制わいせつ罪でそれぞれ収容されていた。
性犯罪傾向などのある受刑者は、刑務所で認知行動療法に基づく再犯防止指導の受講が義務づけられている。また、刑期を残して出所する仮出所者は保護観察所に通いながら指導を受け続ける。
しかし、満期出所者は出所後に指導を受ける機会がなく、性欲抑制の治療を受けたいと考えても、保険適用外なので全額自己負担だった。
法務省が検討を進めている新たな制度では、満期出所予定者に対して出所後に治療や認知行動療法を受ける意思を確認。意思がある場合は出所後の居住予定地近くの医療機関を紹介するといった対応を取る。
認知行動療法は国家公務員の法務技官(心理)らが担当する。法務省は「あくまでも元受刑者の任意になるが、こうした試みを再犯防止につなげていきたい」としている。
性犯罪者らの再犯防止をめぐっては、新潟市で今年5月に小2女児が殺害された事件などを受け、自民党再犯防止推進特命委員会の田中和徳委員長らが、法務省に新たな対策を実施するように提言している。
性犯罪常習者に対して監視を強化している国もあり、米国や韓国などでは、衛星利用測位システム(GPS)の端末を常習者に装着して監視するシステムを導入している。新潟県議会は7月、同様の監視システム導入の検討などを国に求める意見書を賛成多数で採択している。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180805-00000012-san-soci
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