「生きがいだった」。6日に閉場した築地市場(東京都中央区)では、一抹の寂しさを抱きながら業界関係者が最後まで威勢良く営業を続けた。
世界に誇る日本の食文化の中枢だった「築地ブランド」を支えた目利きの力は、豊洲市場(江東区)に引き継がれる。
午前5時過ぎのマグロ売り場。業界団体「東京魚市場卸協同組合」の早山(はやま)豊理事長が業者らに「とうとうこの日が来てしまった。
今まで築地で育んできた技と目利きの力を新市場に持っていこう」と呼びかけ、最後のせりを前に手締めを行った。
卸売業者が真剣なまなざしで、ずらりと並んだマグロの断面をのぞき込む。午前5時半には最後のマグロの競りが始まり、あっという間に値段が付けられていった。
競り落とされたマグロはすぐに仲卸業者が買い付けにくる。築地歴45年というマグロ専門の卸業者、伊藤潔さん(68)は、慣れた様子で常連の仲卸業者と手早くやりとりし、
競り落とした北大西洋産の冷凍マグロを売り切った。晴れやかな表情を浮かべながら「僕にとって築地最後の品物。築地は生きがいだったね」と語った。
サバやアジなどの鮮魚を扱う水産仲卸「亀谷」の2代目社長、亀谷直秀さん(58)は「寂しい気持ちはないけれど、思い出はたくさんある」と感慨深げ。別の仲卸業者は「築地はもう限界だから。豊洲でがんばるよ」とさばさばした表情だった。
午前6時過ぎには青果卸売場でも競りが始まった。新鮮な魚と野菜を一気に手に入れることができるからこそ、仕入れ業者や飲食店から築地は重宝された。ある飲食店店主は「築地は買い回りに便利で、店に必要な物が何でもそろった。最新の設備を持つ豊洲も期待している」と話す。
別れを惜しむ一般客も場内の飲食店に列をなし、間もなく解体される建物を写真に収めるなどしていた。夫婦で訪れた北区の男性会社員(52)は、「もっと通えばよかった。築地場内最後のすしを楽しみます」と名残を惜しんだ。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181006-00000544-san-soci
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