1年間の出生数が100万人を割り、少子化への急坂を転げ落ちている日本。一方で生後間もない0歳児が死亡する児童虐待や、育児放棄が相次ぐという矛盾を抱えています。予期しない妊娠で生まれてくる子どもたちを保護するため、「特別養子縁組」という制度が約30年前につくられました。
生みの親から育ての親へとリレーされる小さな命。その決断の背景には、様々な葛藤や苦悩がありました。その当事者たちが描く、親子それぞれの“幸せ”とは…?
中2で妊娠した少女「これからどうしよう」
病院のベッドに横たわる、お腹の大きな少女。中学2年生の綾香さん、14歳です(仮名・年齢は取材当時)。綾香さんのお腹の中には、出産間近の新しい命が宿っていました。若くして母となった綾香さん。お腹の赤ちゃんの父親も、同じ中学生でした。綾香さんのお腹にエコーを当てると、赤ちゃんの元気な心臓の音が聞こえてきます。
妊娠が発覚した時の気持ちについて、綾香さんは戸惑いを語りました。
「嫌じゃないけど、いいのかなと。これからどうしよう」
綾香さんの母親が妊娠に気づいたとき、既に中絶できる時期を過ぎていたといいます。
娘と同じように戸惑っていました。「どうしようかな。最悪どこか遠くへ行って、産んで育てるのか。すぐ施設みたいなところに預けて、何年後かに引き取って育てるとか、という考えでいた――」
“特別養子縁組”支える団体
ある日、綾香さんのもとを訪れた女性。赤ちゃんの“特別養子縁組”をあっせんする、民間団体NPO法人「Baby ぽけっと」の岡田さんです。綾香さんは岡田さんの力を借り、生まれてくる新しい命を、養子として人に託すことにしたのです。
何らかの理由で、親が育てることができない子どもはどうなるのか。これまで日本では子どもを、乳児院や児童養護施設へ預け、施設で育てる事が重視されてきました。しかし、施設から“里親”などの家庭へ引き取られる子どもは、全体のわずか18.3%(平成28年度)となっています。
一方、民間団体や児童相談所では、母親の妊娠中から相談を受け、新生児を「特別養子縁組」という制度で、子どもを育てたい夫婦に託しています。
「特別養子縁組」は「普通養子縁組」と違い、生みの親との血縁を断絶し、養子であっても戸籍上に「実の子」として記載されるのが特徴です。子どもが6歳未満(※1)の場合に限り、「育ての親」が法的な「実の親」となるのです。
「なんとか中絶できる病院を紹介してください」と、綾香さんの相手の母親から相談があったといいます。しかし岡田さんはこう伝えました。
「そんな事絶対できない。気持ちはわかるけれども、生まれてくる子供を第一に考えましょう。」
(※1)平成30年9月現在、6歳未満から年齢を引き上げる議論が行われている。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181010-00010005-sp_ctv-soci
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