注目の沖縄県知事選は、前自由党衆院議員の玉城(たまき)デニー氏の勝利で終わった。この結果をどう見るべきか。最終盤に現地取材を行った、評論家の八幡和郎氏が緊急寄稿した。
硬直的な政府との対立で、翁長雄志知事の人気は落ちていたが、在任中の死で「弔い合戦」ムードが高まった。
しかも、翁長氏の公開されない遺言テープで、保守系財界人と玉城氏が意中の人だったとし、財界人が辞退する儀式を踏むことで、保守の一部と革新による「オール沖縄」体制が維持された。
前宜野湾市長の佐喜真淳(さきま・あつし)氏を推薦した、自民党と公明党、日本維新の会などは、組織型選挙で、当初はダブルスコアといわれた情勢から盛り返したが、時間が足らなかった。
玉城陣営は、保革同舟の矛盾を「イデオロギーよりアイデンティティー」とゴマかしたが、独自性は、もっぱらヤマト(本土)に向けられ、「中国の脅威」には無警戒だ。
もともと、玉城氏は「良質の防衛意識」を持った人だった。ところが、最近は「基地をつくったら平和にならない」「相互関係で成り立っているのに、基地を置くのは裏切り行為」などと非現実的なことを語り、その落差はネットで画像が公開されて、話題になっている。
太平洋への進出を狙う中国にとって、沖縄は垂涎(すいぜん)の的である。中国による脅威は、軍事的にいきなり占領されなくとも、米軍や自衛隊を後退させ、経済的に中国に依存させ、移民を送り込む-というかたちで進んでくるだろう。
東南アジア諸国が、華僑の過剰な影響力にどれだけ悩まされているかを見れば、その深刻さは分かる。最後は、沖縄の人々は居づらくなって本土に移住せざるを得なくなりかねない。
もちろん、玉城氏が元来の「良識ある見解」に戻り、県民本位で政府との建設的な話し合いに臨めばいい。だが、選挙戦の経緯を見ていると、自由党の小沢一郎代表や共産党など、「沖縄の利益」とは無関係な思惑の呪縛から解き放たれるのは難しそうである。
安倍晋三政権は、常に建設的な話し合いへの道は開きつつ、「ゴネ得は許さない」ようにした方がいい。
それとともに、安倍政権は本土に比べて沖縄では不人気という反省の上に立って、「沖縄の人々の心をつかむためにはどうすればいいか」と、真摯(しんし)に考え直すべきだ。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181002-00000004-ykf-soci
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