訪日外国人旅行者(インバウンド)が右肩上がりで伸びる中、輸出入貨物や旅行者の取り締まりを担う税関は人手不足で悲鳴を上げている。
2020年の東京五輪・パラリンピックを前に、旅行者は今後一段と増加が見込まれるだけに、財務省は税関職員の増員や高性能検査装置の増強で対応する構えだ。
財務省は19年度予算概算要求で、税関検査の円滑化やテロなどの水際対策として、税関職員(18年度当初定員9387人)を263人増やすよう求めた。加えて、X線検査装置や金属探知機の費用として59億円を要望している。
中国や韓国に近く、両国から数千人の観光客を乗せた大型クルーズ船が押し寄せる九州地方。門司税関(北九州市)は近隣税関の応援を受けて業務に当たっているが、「不正薬物などが見つかれば調書の作成や検査に時間が割かれ、通関業務に遅れが生じる」(担当者)と頭を抱える。
奄美大島や屋久島といった観光客に人気の離島が多い長崎税関(長崎市)では、クルーズ船が到着するたびに職員が出張して対応している。
価格高騰に伴い金密輸の摘発量が増えていることも人手不足に拍車を掛けている。17年の摘発件数は、前年比66%増の1347件、押収量は約2.2倍の6236キロ。いずれも過去最高を記録し、水際対策の重要性は増すばかりだ。
政府はインバウンドを15年の約2000万人から、20年に4000万人、30年に6000万人とする目標を掲げる。ある財務省関税局幹部は「仕事は増えるばかり。機械導入による効率化はもちろん、手荷物検査を確実に行うためにも定員増は不可欠だ」と語り、予算と人員確保に意気込んでいる。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181003-00000011-jij-pol
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