豊洲市場(江東区)の開場を11日に控え、市場関係者がいまだに気をもむ問題がある。
混沌(こんとん)とした築地市場(中央区)で長年見過ごされてきた公共スペースを使った営業行為などのルール違反が、整然とした豊洲ではできなくなりそうなことだ。
違反行為が常態化して、日常の商いの一部となっている業者もいるため、市場移転を機に襟を正したい東京都との間で摩擦が生じそうだ。
大型トラックが通る築地の搬出通路やその周辺の公共スペースにはほぼ毎朝、小売店などへ搬出を待つ鮮魚類のほか、空の発泡スチロール箱や運搬用のリヤカーなどが大量に放置される場所が数多くあった。
道幅の半分近くをふさぐケースもあり「通路として機能していない」(静岡県の鮮魚運送業者)といった苦情が出ていた。
仲卸店舗周辺でも商品や作業台が通路にはみ出している店が多く、ルールを守っている業者からは「観光客なども通るので危ない。そろそろ改めるべきだ」との声が上がっていた。
都の管理担当者は「何年も注意してきたが、厳しい罰則が科せないため残念ながら改善されていない」と話し、不正がはびこった実態を認める。
違反業者も「店が狭いのでやむを得ないが、すぐに片付けているのでさほど迷惑は掛けてない」と違法性は認識するものの、罪の意識は低い。
しかし、移転先の豊洲は築地とは環境が大きく変わる。荷物と買い出し人の通路が整然と分かれ、不正の温床となる空きスペースが大幅に減少するという。
このため、都の担当者は「構造的に築地のようなルール違反はやりにくくなる」とみている。また、屋外など、低温で管理されていない場所に荷物を放置すれば、豊洲の売り物でもある高い衛生管理基準の適合から外れることも業者側にはプレッシャーになるという。
一方、業者側の認識は都の思惑とは異なる。豊洲の使い勝手に「動線が悪く搬出に手間取りそう」(有力仲卸)と疑念を持つ意見が多く、正規の場所が混み合えば「必ず誰かが禁止場所で作業を始めるようになる」と別の有力仲卸は明かす。
仲卸店舗の間口も築地より狭くなるため「多く仕入れた日は通路も活用しないと身動きもできない」と不満を訴える仲卸もいる。
豊洲の数少ない空きスペースや通路の一部をめぐり、不謹慎な業者から「良い場所は早い者勝ち」といった声が早くも漏れてきており、営業初日には場所取り競争が起こりそうな気配だ。
こうした動きを察知して都は、築地の二の舞いを避けるため警備を強化する方針。悪質な違反常習者には数日間の入場禁止など、厳しい行政処分も検討しているという。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181006-00000050-jij-pol
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