救助の手は届かず、濁流が子供たちをのみ込んだ。記録的な豪雨で、道路の陥没や冠水が相次いだ広島市安芸区で6日夜、母子4人が乗った車が川に落下して流された。母親と長男は救出されたが、2人の女児は行方不明に。9日早朝も、捜索が行われた。
6日午後7時すぎ、広島市安芸区畑賀の畑賀川沿いの道路で大きな陥没が発生し、車が川の中に転落した。「雷みたいな音がして道路が突如陥没したが、助けてあげられなかった。何の力にもなれなかった」。現場近くに住む女性(32)は涙ぐむ。
この女性は、転落した車の上によじ登って助けを求める、家族の長男とみられる少年の姿を見た。消防隊員らが拡声器で「頑張って。つかまって」と呼びかける。泥だらけの短パンとTシャツ姿の少年も何かを叫んだが、濁流の轟音にかき消され声は聞こえない。
川の激しい流れで揺れる車の上で、少年が車中の幼い女児を抱きかかえるように引き上げる様子も。消防隊員が渡した救助用のロープをつかんで少年は濁流に飛び込んだ。
ロープをつかんだ女児も川に入ったが、隊員が3人がかりで引き上げたロープの先に女児の姿はなかった。その後、母親とみられる女性も運転席の窓から出て救出、呆然とした様子で救急搬送されたという。
救助活動を見守った正路順造さん(80)は「子供たちが水遊びにくるような川で、こんな悲劇が起きるなんて。母親の気持ちを思うと、言葉にならない」と肩を落とした。
広島海上保安部などによると、母親と長男は救出されたが、2人の女児は行方不明。7日午前8時ごろには女児の父親から、「妻と長男は助かったが、子供2人が見つかっていない」との通報があり、同海保などが8日早朝から河口付近などでの捜索を続けている。(小松大騎)
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180709-00000528-san-soci
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