移転延期から約2年を経て11日に開場した東京江東区の豊洲市場。観光拠点「千客万来施設」の開業遅れや都道環状2号線(環二)の本線整備の滞りなど課題は残るが、タワーマンションが立ち並ぶ街は「日本の台所」のオープンで変わるのか。開業初日の豊洲を歩いてみた。11日早朝、雨上がりの東京メトロ有楽町線とゆりかもめが通る豊洲駅周辺は人通りも少なかったが、ゆりかもめに乗り込むと、車内はすでに通勤ラッシュを思わせる混雑だった。
2駅先の「市場前駅」に到着すると、乗客の大半が一斉に降車。改札へと繋がる階段は狭く、長い行列ができ、ほとんどが青果棟や水産卸売場棟へと吸い込まれていった。
駅周辺はオフィスビルも少なくコンビニの影もない。上空は取材ヘリが飛び交い、歩道橋にはたばこの吸い殻も捨てられていた。
豊洲市場のメーンといえる水産仲卸売場棟に続く道路は未明から関係者のトラックで渋滞していた。車では左折入場または反対車線からの右折入場は可能だが、
向かいの正門南から出てきた車は直進はできない。勝手が分からず立ち往生する車両も少なくなかった。渋滞が解消されたのは午前10時ごろだった。
初競りでもちょっとしたトラブルが。一部業者からは「競り場の温度が高く、冷凍マグロが一部溶けていた」との声も。
市場内には、築地市場から老舗飲食店が移転し、なじみある風景が豊洲を活気づけていた。築地で人気だった寿司店「寿司大」は豊洲でも変わらぬ人気で、入店待ちの行列ができていた。
観光目的で訪れたという男性は「朝からものすごい行列で、江戸前寿司だというので並んでみた。並んでる間に茶を出してくれたりありがたい」と笑顔だった。
6日に閉店した吉野家築地一号店の後継となる豊洲市場店もオープンした。練馬区の鮮魚店「魚武」の男性店主は吉野家で弁当を購入、「本当は店で食べていこうと思ってたんだけど、時間がなくてね」と話すと足早に去っていった。
住民らは豊洲市場をどう受け止めているのか。豊洲に住む石浜徳さん(67)は「まだなんともわからない。ただ、買い物は近くの『ららぽーと豊洲』などでするからね。車はうるさいかもしれないよね」と語った。
10年以上豊洲に勤務する会社員の男性(54)は「(一般客の見学が始まる)13日からは、通勤以外の乗客も増えるだろう。
仕事帰りに買い物や飲食に立ち寄れるのはうれしいが、千客万来施設の開業はまだ先なのでわからない。これを機に豊洲全体がさらに盛り上がると思うし、ポジティブにとらえている」と話した。
台東区の天ぷら店「てんぷら下村」店主の下村満彦さん(39)は、午前6時に自宅を出て電車とバスを乗り継いで仕入れのため市場に訪れた。
「市場内はバタバタとしていて、品数もまだそろっていない。卸売業者からも『品数を確保できるかわからない』と事前に聞いていたので、今日の営業は見送った。皆条件は一緒なのだから、慣れていくしかない」
課題も見えたが、乗り越えるしかないという決意も垣間見えた。(内藤怜央)
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181013-00000001-ykf-soci
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