安倍晋三首相(64)が「連続3選」を決めた自民党総裁選のウラで、沖縄県知事選(30日投開票)の与野党対決が激化している。勝敗の行方は、安倍首相の政権運営や日米関係をも左右するのだ。こうしたなか、
総裁選での言動について「自己保身」「投票表明が遅すぎる」「張り子の虎」といった批判が噴出している小泉進次郎筆頭副幹事長(37)の動きが注目される。
国民的人気は高いが、政治家としての実績に乏しいだけに、今後も一定の評価を得るには「今年最大の負けられない沖縄決戦」での活躍が不可欠なのだ。父、純一郎元首相(76)の仇敵、自由党の小沢一郎代表(76)に引導を渡せるのか。
「人との違いを強みに変えられるかが大事だ。違う声を強みに変える自民党でなければならないと思った」
進次郎氏は20日午後の総裁選後、石破茂元幹事長(61)に投票した真意について、記者団にこう語った。
さらに、安倍首相に対して、「政治家として腹の底からやりたいこと、思っていることを完全燃焼していただきたい。党内で違う声やさまざまな声があっても、それを強みに変えていただきたい」と求めた。
政界の先輩たちに、やや不遜な態度ではないか。
投票直前まで態度を表明しなかったのは、両陣営に気を使った政界遊泳術だろう。ただ、石破氏陣営からは「もっと早く表明してくれれば…。本気の石破氏支持ではなかった」
と不満が漏れる一方、安倍首相陣営からも「権力闘争である総裁選で、双方にいい顔とは自己保身だ」との批判が聞かれる。
正念場を迎えた進次郎氏の真価が問われるのが、沖縄県知事選だ。
米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設などを争点に、前宜野湾市長の佐喜真淳(さきま・あつし)氏(54)=自民、公明、維新、希望推薦=と、前自由党衆院議員の玉城(たまき)デニー氏(58)による、事実上の一騎打ちとなっている。
当初は、知名度のある玉城氏がリードしているといわれたが、現在の情勢をどうみるか。
沖縄に精通する評論家の篠原章氏は「自民党と公明党が国会議員や秘書、支持者らを全国から大量動員し、組織票固めを進めている。経済界は『佐喜真氏支持』でほぼまとまり、大接戦になりそうだ」と分析する。
こうしたなか、自由党の小沢氏の動向が注目されている。これまで複数回、沖縄に入り、水面下で玉城氏支援に動いているというのだ。
小沢氏といえば、辺野古近くの宜野座村(ぎのざそん)に、プール付きの超豪華別荘を建てたことが話題を呼び、「週刊新潮」(12日発売号)が巻頭のカラーグラビアと記事で特集した。
篠原氏は、小沢氏暗躍について、「経済界の支持を玉城氏に呼び戻そうと、企業回りなどに奔走していると聞く。来年の参院選での勝利に向け、知事選を野党連携の第一歩にしたい狙いもあるだろう」と指摘する。
沖縄は、自民党竹下派(平成研究会)と縁が深い。
米軍普天間飛行場の日米返還合意(1996年4月)は、橋本龍太郎政権で実現し、2000年の沖縄サミット(主要国首脳会議)は、小渕恵三元首相が道筋を付けた。
その竹下派をさかのぼれば、小沢氏もかつて所属し、その後、たもとを分かった旧田中派(木曜クラブ)や旧竹下派(経世会)に行き着く。
篠原氏は「今でも、小沢氏が沖縄の自民党地方議員に声をかければ、地元の企業関係者との面談調整に応じるぐらいの影響力はある。
そうした旧知の人脈をフル活用しているのだろう。自民党県連が恐れているのは、玉城氏ではなく、小沢氏だ。選挙戦では、佐喜真陣営から『玉城氏は、小沢氏の操り人形だ』などと、小沢氏を標的にした批判も聞かれる」と話す。
これに対し、猛追をかける自民党は、16日に沖縄入りした進次郎氏を23、24日に再投入し、党支持者に加え、無党派層への浸透を図る。
進次郎氏と小沢氏にも因縁がある。
進次郎氏の父、純一郎元首相は、小沢氏らの「経世会支配」に逆らいYKKを結成した。首相就任後は、下野した小沢氏と政権の座をかけて争った。
これに対し、小沢氏は「小泉氏の改革理念は本物じゃない」「口先だけの小泉内閣」などと痛烈に批判し続けた。
知事選での支援活動が、進次郎氏にとって今後の内閣改造・党役員人事での処遇に影響することは、間違いない。親の敵に「戦力外通告」を突き付けられるのか。
さまざまな思惑が絡み合った「天王山」となりそうだ。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180922-00000009-ykf-soci
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