西日本を中心に広範囲で猛威を振るった台風21号による死者は11人となった。関西国際空港では5日、孤立した利用客らを早朝から高速船やバスで神戸空港や対岸へピストン輸送した。
客からは「関空が災害に全く対応できていない」と、長引く停電や情報が行き届かなかったことに対し怒りの声が相次いだ。
この日早朝、関空から神戸空港への高速船に乗ることができた主婦(51)は「停電で災害時に使えるはずの自動販売機も無線LANも使えなかった。
喉が渇いても、コンビニには2時間以上の列ができていた」と説明した。高速船が出ることは貼り紙による案内だったことから「職員もインフラも災害に全く対応できていない」と不満をあらわにした。
関空から対岸の泉佐野市へバスで輸送された複数の客によると、空港内は空調が効かず蒸し暑く、館内放送もなし。断水で使用できないトイレもあり、通信環境が悪くスマホで情報収集ができなかった。関空によると、空港には従業員を含め最大8000人が取り残された。
夜になって関空の運営会社幹部が会見し、機能停止に陥った一因について言及。地下にある防災センターでアナウンス、
モニターなど情報伝達機器や空調などをコントロールしているとし「水をかぶって全て電源が落ちた。なすすべがなかった」と明かした。今後は防災センターを高い場所へ移すことなどを検討していくという。
11年東日本大震災で津波による被害を受けた仙台空港では、震災後、停電を防ぐために自家発電機の置いてある部屋の扉を水圧に耐えられるよう強化。配線も水に漬からない高い位置を通すようにするなど工夫している。
航空評論家で危機管理に詳しい小林宏之氏は復旧のめどについて「滑走路は水はけがいいが、航空機を支援する車両が使えなければ運航できない」と指摘。
「気象変動によって、今後も想定外のことは起こり得る。非常電源が影響を受けないようにするなどダメージを少なくする減災対策が必要だ」とした。
関空は6日も閉鎖が続く見通し。被害が深刻な場合、滑走路やターミナルビルの運用を再開できるまで1週間程度はかかるとみられる。
タンカーの衝突で数メートルずれた橋桁の補修は数カ月以上かかる可能性もある。航空物流の混乱や訪日外国人客の観光キャンセルなど幅広い産業への影響も深刻化。関空を通じた2017年の輸出額は約5兆6000億円に上り、閉鎖が長引けば国内経済への打撃も避けられない。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180906-00000056-spnannex-soci
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