過去最大クラスの勢力で日本列島に4日上陸した台風21号。近畿地方を中心に高潮や暴風による甚大な被害を各地にもたらした。関西の空の玄関口・関西国際空港(大阪府)は滑走路やターミナル棟の一部が浸水。府南部とつなぐ連絡橋も通行止めになり、利用客ら3000人以上が孤立した。前代未聞の異常事態に空港職員らは対応に追われた。
関空は大阪湾南部の泉州沖に浮かぶ人工島で、海上空港として1994年に開港。「台風でこんな広範囲に水浸しになるのは初めて。信じられない」。運営会社の関西エアポートの男性職員はため息をついた。
猛烈な雨や風が吹き始めたのは4日正午過ぎ。間もなく2本の滑走路が閉鎖され、連絡橋も通行止めに。午後1時半ごろには、空港東側の第1ターミナル棟や隣接するA滑走路周辺で浸水が始まった。
職員の一人は「滑走路でも白波が立ち、どんどん水位が上がっていた。被害がどこまで広がるか先が見えない」とうなだれた。
ANA関西空港支店に勤める西北力マネジャー(47)も午後2時半ごろ、光景に目を疑った。駐機場に止まった航空機の一部の車輪が海水につかり、完全に水没した作業車両も。「携帯電話もつながりにくく、被害情報の収集に手間取っている」と嘆いた。
第1ターミナル棟の地下も浸水し、電気系統を制御する機械室に海水が流れ込み、棟の一部が停電。電気が通じる2階の保安検査場近くのエリアが開放され、関西エアポートの職員らが利用客らを誘導した。営業を続けるコンビニエンスストアには、食料品や生活用品を買い求める客が長い列を作った。
空港内には多くの利用客らが取り残され、スマートフォンで情報収集していたエミ・ダットンさん(35)は米国に帰国予定だったが「いつ出発できるのか分からない」。
4カ月間の短期留学で中国・大連に向かう予定だった女子大学生(19)=大阪府枚方市=も「6日の便への振り替えは決まったが、本当に滑走路が使えるようになるのか分からない。今夜は空港から出られないのか」と疲れた表情を浮かべた。
兵庫県内でも高潮による被害が相次いだ。神戸海上保安部によると、同県西宮市の西宮港では午後2時ごろ、自力で運航できない船舶を補助する押し船「第18久栄丸」(130トン)の船首が消波ブロックに乗り上げた。乗組員7人にけがはなかった。
西宮マリーナでも係留中のヨット1隻が桟橋ごと流された。神戸市兵庫区の三菱重工では午後3時半ごろ、長さ約60メートルと約40メートルの鋼製ゲート2本が流された。【蒲原明佳、岡崎英遠、米山淳】
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180904-00000076-mai-int
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