安倍晋三首相は9日、日韓共同宣言20周年を記念するシンポジウムで「隣国ゆえに難しい問題があり、乗り越えるには政治のリーダーシップが必要だ。関係発展へ文在寅(ムンジェイン)大統領と努力したい」と強調した。
両国は慰安婦を巡る日韓合意(2015年)の履行などを巡ってあつれきが続くが、首相は北朝鮮の核・ミサイル問題や拉致問題の解決に向け、韓国との連携を重視。対立が先鋭化しないよう「友好」維持に腐心している。
日本政府は20周年を機に人的交流の推進などを進めたい考えだったが、韓国側は夏ごろから、慰安婦合意に基づいて設立した「和解・癒やし財団」の解散を示唆。文氏は9月の日韓首脳会談で、解散を求める韓国世論を伝え、韓国メディアは「解散を事実上通告」などと一斉に報じた。
日本政府は財団解散は慰安婦合意の破棄と同義とみて警戒しており、首相は文氏に「合意の着実な実施が必要だ」と要請した。
韓国が解散に踏み切れば関係悪化は避けられず、12月とされる元徴用工による賠償訴訟判決の行方にも、日本側は神経をとがらせる。
ただ、日本政府は韓国への強い批判は控えている。今月5日には海上自衛隊の旭日旗掲揚を巡り、防衛省が韓国で開かれる国際観艦式への参加を中止したが、
菅義偉官房長官は「対応は防衛省で検討する」と慎重な発言に終始。政府関係者は「外交問題化を避けるためだ」と解説する。
首相は9日のシンポジウムで「未来志向の日韓関係を築き上げたい」と改めて強調した。韓国側で1日に開かれた同様の行事に文氏は参加しておらず、首相の熱意がにじんだ形だ。
【小山由宇】
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181009-00000074-mai-pol
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