【ソウル=名村隆寛】1998年に小渕恵三元首相と金大中(キム・デジュン)元大統領(いずれも当時)が発表した「日韓パートナーシップ宣言」から8日で20周年を迎える。当時の日韓関係の復元が模索される一方、韓国側での慰安婦問題の蒸し返しなどで、根本的な関係改善はほど遠い状況にある。
日韓は韓国の金大中政権後の盧武鉉(ノ・ムヒョン)、李明博(イ・ミョンバク)政権までは、シャトル外交で首脳が訪問し合う関係だった。
その後、李明博政権末期の2012年8月に慰安婦問題への日本側の対応に不満を持った李大統領が竹島(島根県隠岐の島町)を訪問し関係は急激に悪化。続く朴槿恵(パク・クネ)政権では、慰安婦問題をめぐり最悪の関係となり、朴大統領は就任中、一度も訪日しなかった。
昨年5月発足した文在寅(ムン・ジェイン)政権は金大中政権の流れをくみ、日韓宣言当時の対日関係を理想としている。
しかし、朴政権で日韓が合意した慰安婦問題の解決を認めず、合意に基づき韓国が設立した元慰安婦のための財団の解散を示唆。日本政府が財団に拠出した10億円を韓国政府が肩代わりすることも一方的に決めた。
安倍晋三首相は2月に平昌五輪の開会式出席のため訪韓した。文大統領は5月の日中韓首脳会談で、就任後初めて訪日した。先月ニューヨークで行われた国連総会をはじめ、
両首脳は国際舞台で何度も会談を重ねた。第三国での「告げ口外交」に加え、安倍首相を避け続けた朴政権当時に比べれば、日韓関係は表向き改善に向かっている。
今月1日、ソウルでは日韓宣言20年の記念式典が開催された。「日韓が北東アジアの新展開の軸になるよう期待」(額賀福志郎日韓議員連盟会長)、
「金大中・小渕両首脳の決断が最良の関係を作った」(李洛淵=イ・ナギョン=首相)と双方が関係の重要性を確認した。
ただ、関係改善ムードの一方で、20周年記念日の文氏の訪日はなくなった。日本側は「いつでも歓迎する」(日本政府関係者)との姿勢だが、韓国側は「文大統領の日程の都合がつかない」(韓国政府関係者)という状態だ。
そんな中、韓国南部の済州島(チェジュド)で10日から開かれる国際観艦式で、海上自衛隊の艦旗「旭日旗」が掲揚されることに対し韓国内で反発が起き、
韓国政府は「国民感情への配慮」を理由に、日本に掲揚自粛を求めた。結局、海自は観艦式への護衛艦派遣見送りを決めた。
韓国海軍は日本側の対応に「遺憾」を表明したが、韓国側からは、日本の反発と予想以上にさっぱりと派遣中止を決めた態度に、当惑やバツの悪さがうかがえる。
韓国側は日韓宣言20年を節目に未来志向の関係発展を志向しているが、今年も残り3カ月を切った。来年、日本からの独立運動「3・1運動」から百年の節目を迎える韓国は、北朝鮮との共同行事も計画している。来年は日韓友好どころではなくなる可能性もある。
文氏の5月の訪日は日中韓首脳会談への出席で日帰りだった。単独での訪日と首脳会談が、年内に実現するかが今後の日韓関係を微妙に左右しそうだ。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181006-00000547-san-kr
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