ドナルド・トランプ米政権が、中国に「人権問題」で圧力をかけようとしている。新疆ウイグル自治区で、イスラム教徒の少数民族ウイグル族が弾圧されている問題で、
制裁を検討しているのだ。覇権を強める習近平政権を「安全保障上の脅威」とみなす米国は、対中貿易戦争に突入し、軍事面でも牽制(けんせい)を続けている。人権問題という「第3の矢」を放ち、中国を窮地に追い詰めようとしている。
注目のニュースは、ロイター通信が2日報じた。
ウィルバー・ロス商務長官が、共和党議員に宛てた書簡で、米政府として近く、中国当局による住民監視や多数のウイグル族が入れられた「再教育収容所」の運営に、使われる恐れのある米国の技術の移転を制限すると伝えたと報じたのだ。
ウイグル族の弾圧については、共和党のマルコ・ルビオ上院議員らが問題視し、トランプ政権に「制裁の実施」を求めてきた。
ロス氏は、ルビオ氏らへの書簡で、数週間以内に輸出管理規則(EAR)を改定し、弾圧に関連する技術の導入に関わる企業や個人の取引を制限することを検討していることを明らかにした。
新疆ウイグル自治区では、今も深刻な人権侵害が続いている。
米政府系「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」は2日、20万~30万人のウイグル族ら少数民族住民が、強制的に自治区外などに移動させられていると伝えた。
報道によると、当局は9月26日以降、拘束したウイグル族らを列車やバスで自治区北部に、北部の少数民族を隣接する甘粛省に移動させているという。
RFAに対し、関係者は、強制移動の理由として、収容施設の不足のほか、「収容所の職員のなかには拘束者と近い関係にある者もいる。彼らが外に情報を漏らしている」と話した。
中国によるウイグル民族への人権侵害について、評論家の石平氏は「一部のウイグル人に限定したものではなく、ウイグル民族全体に人権侵害が行われている。
100万人単位もの人々が、再教育のための収容所に入れられ、自由を奪われている。収容所の外でも監視・検問を受けており、ウイグル地域全体が『青空刑務所』といっていい。ナチス・ドイツのユダヤ人政策と本質的に変わらない」と語る。
トランプ政権は7月、対中貿易戦争を開始し、軍事面でも中国への牽制を強化している。人権問題による対中制裁が発動されれば、中国にどんなダメージを与えるのか。
石平氏は「貿易戦争は、中国の国内経済に大きなダメージを与えるが、人権問題の提起は、中国の国際的イメージをさらに悪化させる。
米国が人権を掲げて中国に圧力をかけると、『米国vs中国』ではなく『全人類vs中国共産党独裁政権』という問題となる。中国は国際社会で孤立し、習氏は全人類の敵になりかねない」と話した。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181009-00000015-ykf-int
みんなのコメント