米国に対する新たな追加関税措置を中国政府が3日に発表するなど、米中貿易摩擦がエスカレートしている。ただ、今回の報復措置は米国の規模より小さく、
輸入総額で米側に大きく劣る中国がとれる方策には限界が見え始めている。そのため米国製品の不買運動や米国債売却など関税以外の報復措置が取り沙汰されているが、中国側の手詰まり感は日増しに色濃くなってきている。(三塚聖平)
中国は約600億ドル(約6兆7千億円)相当の米国製品に最高25%の追加関税を課すと3日に発表した。先に米国が表明していた制裁への報復措置だったが、米側の「2千億ドル相当の中国製品に25%」という規模には達しなかった。
中国の対米輸入額は年1500億ドル規模で米国の対中輸入額(5050億ドル規模)と開きがある。これまでに中国が表明した報復関税の総額は、発動済みの分も含めて既に1100億ドル相当に達しており、米国のように制裁対象を広げるのは難しくなってきている。
そのため関税以外の措置の可能性が指摘される。
最もあり得るのは米製品の不買運動。韓国では米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備に中国が猛反発し、ロッテグループなど韓国企業への圧迫が続いた。
中国官製メディアでは7月下旬ごろから米アップルに関する批判が相次いでおり、市場関係者には「アップルが標的になるのでは」との見方も出ている。
中国での米企業の投資規制や、認可先延ばしも想定される。7月下旬に米半導体大手クアルコムが、オランダ企業の買収計画を断念した際、
独占禁止法の審査を行う中国当局が貿易摩擦の影響で承認しなかったことが原因との見方が広がった。中国側はこれを否定したが、経済界に疑心暗鬼を生んでいるのは事実だ。
米側も警戒するのは米国債の大量売却や購入規模の大幅減額。中国の米国債保有額は5月末現在で約1兆1800億ドルと外国勢トップで、大量売却で米経済は衝撃を受ける。ただ、これは人民元相場も不安定化させる“もろ刃の剣”だ。
中国側が過激な策に出れば、トランプ米政権がより激烈な報復に出るのは間違いない。中国側は、米国が「国際緊急事態経済権限法(IEEPA)」を発動することを恐れているとみられる。
同法は経済に関する種々の権限を大統領に付与することを認めるもので、対象国が保有する国債の無効化といった一方的な措置が可能になるとされる。
中国経済に深刻なダメージを与える米国との全面対立を避けるためにも、強硬な報復措置に出るのは難しいのが実情だ。中国側が取り得る対抗策は徐々に限られてきている。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180806-00000500-san-cn
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