(CNN) タイのリゾート島プーケット沖で中国人観光客を乗せたボート2隻が転覆し、40人以上が死亡した事故から11日で1週間が過ぎた。タイでは洞窟に閉じ込められた少年たちの救出に注目が集まる一方で、転覆したボートの乗客は今も数人が行方不明になったままで、中国ではタイに対する苛立ちや怒りの声が強まっている。
中国人観光客120人あまりを乗せたボート2隻は5日、プーケット島沖で暴風雨に遭って転覆した。
タイのプラウィット副首相はこの事故について9日の記者会見で、中国のツアー業者に全責任があると主張し、「今回の事故では中国人が中国人に損害を与えた」と強調。「ボートは彼らのもので、彼らは警告を無視して出航した。我々に責任はない。責任は彼らにあり、彼らが自分たちで解決しなければならない」と言い切った。
この発言に対して中国のソーシャルメディアや国営紙では非難が殺到。国営英字紙チャイナデイリーは、「たとえ同氏の言ったことが真実だとしても、タイ政府が観光客の安全を保証する責任を逃れることはできない」と指摘した。
中国版ツイッター「新浪微博(ウェイボー)」のユーザーは、現場にいた目撃者の証言として、ボートがプーケット島を出航する時点で、出航を止めようとする当局の警告はなかったと伝えている。
浸水したボートの中で、タイ人の乗員が乗客を見捨てたと伝えられたことについても、疑問をぶつける声が相次いだ。
犠牲者の身元確認のために中国から訪れた家族などが、なかなか遺体と対面させてもらえないと訴える投稿もある。
「中国人の命があれほどないがしろにされてもいいのか?」「タイのサッカー少年たちが救助されたのはうれしいけれど、もう二度とあの国へは行かない!」。ウェイボーでは11日、そんな投稿が多くの支持を集めた。
タイを訪れる外国人観光客は中国人が最も多く、公式統計によると、昨年タイを訪れた中国人はほぼ1000万人に上る。
中国でタイに対するボイコットの呼びかけが強まる中で、在中国タイ大使館は10日に声明を発表、プラウィット副首相の発言について「犠牲者の家族を傷つけたかもしれない」と述べ、今回の事故に関して中国人観光客に「遺憾と謝罪」を表明した。
これを受けて中国政府も国民の批判を抑えるような動きを見せ、タイ当局による捜索救助活動が続けられていると強調。タイのプラユット首相が病院を訪れて中国人観光客を見舞ったことにも言及した。
中国外務省の華春瑩報道官は、「行方不明になっている中国人観光客が全員発見されるまでは捜索活動を続けると、タイ側が約束した」と述べ、タイ警察は原因の究明と関係者の訴追を進める方針だと説明している。
プーケットのノラファト知事によると、現場では中国の捜索隊がタイ当局と連携して捜索救助活動を続けている。プラウィット副首相の発言についてはコメントを避けた。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180712-35122375-cnn-int
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