2人に1人の大学生が奨学金に頼っているという。その裏で急増しているのが、奨学金を返済できずに自己破産する人たちで、いわば「奨学金破産」という状況だ。日本学生支援機構によると、自己破産によって奨学金の債務が免責になった、あるいは保証債務が免責となった人の数は2016年度までの5年間で、延べ1万5338人に上るという。どんなことが影響しているのか。
38歳のフリーター・大島徹さん(仮名)は、奨学金を返済できず、年内に自己破産する予定だという。大島さんに話を聞いた。
「1999年に立教大学に入学してまもなく、奨学金を申し込みました。貸与されたのは毎月10万円。実は僕は父子家庭で、そのお金は父親に渡していました。父親はその奨学金を借金返済や遊興費に使っていたのです。学費ですか? 祖母や親戚に頭を下げて、なんとか工面していました。別れた母親にも頭を下げて、何とか4年まで進学。就活もしたんですが……」
そこへ襲い掛かったのが、就職氷河期だった。大島さんの就活時の大卒求人倍率は1.09、前年度は0.99。多くの学生が思うように就職が決まらず苦しんだ。
「そこそこの大学に行けば、就職は安心だと思っていました。親世代の人たちはみんなそう言っていた。よく考えればバブルも崩壊していたわけだし、そんなに甘くないわけですが、高校生の頃には想像できなくて」
内定を出してくれた企業もあった。しかし、希望の業種ではなく、気持ちが塞いだ。迷いに迷って1年留年した。
「父親の奨学金使い込みは続き、僕は学費を工面できなくなり、精神的にも参ってしまい、大学を除籍となったのです」
かくしてフリーターになった。バイトをつないで生計を立てたが、奨学金の返済にまで手が回らない。一度就職した会社とは、給与の未払いで裁判沙汰に。奨学金の返済猶予の申請も何度かしたが、常に借金のことが気持ちに重くのしかかったという。
「ついに一昨年、日本学生支援機構から強制執行の通知が届きました。延滞金などもついて総額500万円以上。地方裁判所に出向き、返済能力がないことを説明。年内に自己破産する予定です。奨学金の返済は、僕にとっては父の借金の肩代わり。積極的に返したいという気持ちがわかなかった。その考えが悪かったんでしょうね」
奨学金破産を自己責任として切り捨てていいのだろうか。闇は深い。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180716-00000002-nkgendai-life
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