まもなく大型連休。行く先々の施設のトイレで、順番待ちの長蛇の列に悩まされたことのある女性は多いのではないだろうか。各地で公共トイレを清潔にするなど快適化を目指す動きが広がっているが、この“行列問題”はほとんど改善が見られない。大正大学人間学部准教授で、日本トイレ研究所の会員でもある岡山朋子さんに、女子トイレ行列を生む背景や問題点について解説してもらった。
目次
◆“男女平等”が不平等に
先日、順番待ちの列ができていた女子トイレの前で、小さい女の子が我慢しきれなくなり、母親が列に割り込む形で「先に使わせてほしい」とお願いしたことをきっかけに論争がわき起こり、ツイッターでも議論になりました。
「子どもに優先させてあげるのが大人の優しさ」と思う人がいる一方、「過活動膀胱(ぼうこう)」などでいつも尿漏れを心配している大人の女性や、急な生理などで一刻も早くトイレに駆け込みたいという女性もいます。いずれも当事者にとっては非常に深刻な問題であり、簡単には譲れません。
こうした深刻な「トイレ渋滞」の影響を受けるのは、ほとんどが女性です。公共施設などで女子トイレの前にだけ長蛇の列ができているのを、男性も見かけたことがあるでしょう。
その原因は、実態にそぐわない「男女平等」にあります。公共トイレの多くが左右対称の作りで、男子トイレ、女子トイレが同じ面積で作られることが影響しているのです。
◆利用時間は男性の2.5倍
中日本高速道路(ネクスコ中日本)が2014年度に行った調査によると、男性が小便器を利用する時間が平均37.7秒であったのに対し、女性の個室トイレの平均利用時間は約93.1秒で、男性の約2.5倍の時間がかかっていました。女性のトイレは常に個室が必要で、男性より所作も多いからです。
男女で同じ面積のトイレを作れば、すべて個室の女子トイレは、男子トイレよりも便器の数が少なくなることが多く、その上、1人当たりの利用時間が長いとなれば、女子側にだけ列ができるのは当然といえます。
面積が「男女平等」であっても、利便性の面では「平等」とはとても言えないのです。
女性のほうが多い…山口県萩市
◆男性の2倍を目標値に
トイレの男女比率を変え、女子トイレの渋滞問題を改善しようと取り組んでいる自治体もあります。山口県の萩市です。
萩市には松下村塾など、世界遺産に登録された観光地の一部があり、観光客が大型バスで訪れると、公衆トイレを利用する女性たちの長蛇の列ができていました。市の公共施設でもイベント開催時に同様の問題が起きていたことから、市は「公共施設のトイレにかかる整備方針」を設け、「男性小便器数と女性便器数の比は概ね1:2とする」という目標値を定めています。
同市によると、女性コーラスの全国大会などが行われる萩市民館は、男子トイレの便器が22個(小便器15個、個室7個)、女子トイレは個室のみ12個でしたが、2013年度に行われた整備で女子トイレだけを増やし、男子の1.5倍に当たる個室34個となりました(女子トイレ内に男児用小便器1個を増設)。
◆「空き」でも奥のトイレは使われない
面積の問題以外にも、「トイレ渋滞」を生む理由があります。
先に紹介したネクスコ中日本の調査では、トイレの列に並ぶ人の行動について、もう一つ興味深いことが分かりました。
並んでいる人の行動を観察すると奥の個室が「空き」となっているのに、利用する人が少なく、入り口近くの個室に利用が集中していることがわかりました。仮に1人当たりのロス時間は短くても、行列する人の数を掛ければ、相当な時間のムダになります。
こうした調査をもとに、高速道路のサービスエリア(SA)などでトイレの混雑解消に向けた取り組みが始まっています。
デザインでトイレ渋滞を解消
◆センサーで「空き」を表示
静岡県沼津市の東名高速道路・愛鷹(あしたか)パーキングエリア(PA)などでは、トイレの個室の入り口にライトを設置し、センサーで利用状況を感知して、使用中なら「赤」、空いていれば「青」と自動的に表示するようにしています。
ほかにも、人は明るい方へ行きたくなるという心理的な「サバンナ効果」を利用して、トイレの入り口から奥に向かって、壁のデザインを寒色系から暖色系に、照明も徐々に明るくするなどして、空いている奥の個室を利用するように促す工夫をしています。これにより、奥の個室までまんべんなく利用され、以前よりも混雑が緩和されたといいます。
順番待ちの列に整然と並んでもらうことも時間のロス解消につながります。どこで待てば良いか分からないなどの理由で順番を抜かされた人から不満の声が出るなどして、トラブルになるのを防ぐことができます。
圏央道の厚木PA(内回り)などでは、人の足形などを床面に描き、トイレの順番を待つ位置と並び順が分かるようにし、さらに、入る人と出る人が出入り口で交錯しないように、それぞれの動線を床に描いた矢印で示すようにしています。
このほか、女性はトイレで化粧や身だしなみを整えることがあり、その順番待ちがトイレ内の混雑にもつかながるとして、トイレとは別に専用のスペースを設けたサービスエリアもあります。
◆デザインで混雑を解消
スポーツ観戦の際も、トイレのタイミングは重要です。行列に並んでいる間に、決定的な瞬間を見逃してしまうのは誰も避けたい事態でしょう。2020年の東京五輪に向けても、大きな課題になると思います。
Jリーグで昨季優勝した川崎フロンターレの本拠地・等々力陸上競技場(川崎市中原区)では、2015年のメインスタジアム改修に合わせて、トイレの混雑解消にも取り組みました。サッカー観戦時のトイレ利用は、ハーフタイムなどの限られた時間に集中しがちです。試合再開までにお客さんが客席に戻れるようにと配慮したそうです。
ここでも、個室の「空き」がはっきりと分かるような工夫をしています。
スタジアムの改修を行った日本設計(東京都新宿区)によると、全ての個室ドアが閉まった状態では個室の周辺はまっ白に見えるようにデザインされています。個室内の壁は女子トイレが赤、男子トイレは青に統一され、白い扉が開くと、個室内の色が見えて、そこが「空き」になったことがわかるという仕組みです。
動線にも工夫しています。
用をすませて個室を出ると、すぐ目の前に小さな手洗い場所があります(写真参照)。手を洗い終えて顔を上げると、一番奥にある緑色の壁に目が向く作りになっていて、壁面には矢印が一つ描かれています。これに従って移動すれば、出口となります。トイレに入ってから出口までが“一方通行”で、利用者が一度も戻ることなく動くように導く仕掛けになっているのです。この工夫で、入る人と出る人の交錯も防いでいます
男性は母や妻の立場で考えて
◆男性は母や妻の立場で考えて
車で移動する際や混雑した駅、観光地など、トイレの問題が心配になる場面はいくつもありますが、女性はなかなかその悩みを言いだせません。女性同士でも、世代間で分かり合えないことが多いと思います。
男性にとってはなおさら、「女性のトイレの問題」は、分からないことだらけだと思います。しかし、ここで紹介したように、社会的な理解不足や環境整備の遅れに女性は困っているのです。知らないふりをせず、自分の母親、妻、娘の大問題として考えていただければ、本当の意味での“男女平等”のトイレ整備が実現していくのではないでしょうか。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180421-00010000-yomonline-life
みんなのコメント
そういう姿勢がおれは嫌いなんだ
一人が10秒急げば100人で16分も短縮できるんだぞ
まずそういうこつこつしたところから始めろ
法律の弱者救済は、その弱者に優位を与えるので無く平等にするだけだ!
しかも、その救済に座するものは救う意味があるのか?
不備の改革は、先ずは己からでは無いのか?
男女共に、トイレの中は圏外にするだけでかなり緩和されると思うよ。
公共性を考えろ!と思い
個室に入ったとたんに
並んでいたことをすっかり忘れる
アホな女性が多すぎる。
という被害妄想に陥ってる?
女性のトイレ問題は理解するが、こんな記事では反感を感じてしまう
スマホや化粧してる輩が多すぎるからね。
そうすれば、それ以外のことしようとする人はそもそも落ち着かないから入らない。
本当にトイレしたい人しか使わなくなる。
1回は再度しめられても、2回目は一回出ないと閉められないようにすればいい。または、サイレンでも鳴らすか?
ただ、腹痛、下痢系だと厳しいけど。
長時間コースだからね。
いやでも。
家にいれば並ぶ必要ないのです。
なんで最後に「男性は女性の身になって~」とか押し付けてくるのか
申し訳ないけど便意はコントロールできないので仕方が無い。
なので他人のトイレが長くても、お腹が痛かったり障害があったりして遅くなるのかも、と思い気にならなくなりました。
お腹痛いときに行列に並ぶのは苦痛だけど、他人もお腹痛いなら仕方ないのかなと思ってます。
個室でメイク直しや携帯いじりは、してる人もいるのかもしれないけど想像してイライラしてもきりが無いし。
でも銀行のATMを見ても判るけど、女性は後の人の事を考えて行動するということを一切しない。どうせこれも待ち時間が長いことに文句は言って、いざ自分の番が来たら中でスマホとか触ってるんだろうなぁと容易に想像が付く
トイレ設備よりも先ず改善すべきは女性の意識だと思う
利便性の方向性をうたうならまだしも行政の課題問題として取り扱えばいい面をトイレの面積から女子の平等性ってのを前面に出されてもな・・・
個室から長~く出てこない女は鼻ほじってるって私は思ってます。
見ていて可哀相になる。
日本人はすぐにそういうことをやんややんやと言い出して悪者を作ろうとするけどさ。
そういうこと言うから難病の人や何かしらの障害のある人が生活しづらくなる。
まあマナーの悪い人なんて必ずいるんだからそれを想定した場所や動線や数の工夫が必要だよね。
なので世の女性達が、何故あんなに時間が掛かるのか本当に謎。やってること同じなのにね。
中でスマホでもいじってるの?食事でもしてるの?
一刻を争う人にとっては悩みどころですね。
単純に設計ミスでしょ。
私のすぐ後入っちゃ嫌嫌というCMもあるが、公的な場所には贅沢は言ってられない。
やけに男に突っかかるなと思って読んでいたら、
女性のライターだったのね。
トイレに男女平等を持ち込むのはどうかと思うし、
「今だけ男」と男子トイレに駆け込むおばちゃんを
どうするのかは、施設の管理・運営をしている所に
言うべき問題じゃないかな?
男性も今の時代便座に座って用を足す(自宅等で)ようになっておりますが、トイレに行くだけであれば男女差は言うほどありません。
所作が多いというのは余計な事をしているからでしかない。
化粧を直すのはトイレでしなければならない事ではありません。
穿いている物を脱いで腰かけたらすぐにトイレットペーパーを巻き取り、用を足し終わったら拭いて出れば男性が小便器で取られる時間に数十秒で事が足りる。
ましてや女性の方が膀胱から尿道口までの距離が短いから、男性よりも時間は短いはずなんですけどね。(その分我慢できる時間も同様に短いので、高速道路などを利用した長距離移動の際には配慮が必要です)
別に女性のトイレの数を増やすのは賛成だけど、余計な事してる同性をどうにかしてからにしてよね。
男性からしたら、なんか悪いことした?って感じだけど・・・
女性用トイレは面積が同じでも、男性用小便器が無い分、大便器の数が多いのでは?
今後は設計段階から面積や数を考慮すべきでしょうね!
男子の小用もニーハオトイレだし。
着替えや化粧スペースを別に作ればトイレ行列は緩和するでしょ。
東京オリンピックのときの国立競技場には設置されていたそうですよ。
他の案は、個室の外に使用(占有)時間を表示するタイマーをつける。
これは男子用個室にも必要。 外に人が並んでるのにスマホいじりしてるのや便所メシ食ってるバカがいるので。
最寄り駅のトイレはよく列がある。
ちょっと離れた所に空いてそうなトイレが
結構あるのにみんな並ぶ。
それを見る度に馬鹿だな~って思う。
並ぶのが好きな日本人気質なんでしょうね。
海外でもトイレ列ってあるのかな?
ストッキング、履き替えたり
下着の枚数も違うだろうし
膀胱炎の時は
さっと出れないし。
個室でメイク直しする人はいないと思うけど…所要時間は様々。
中にはお腹壊して出て来れない人もいるんだろうけどね。
女性の場合、生理中はもちろん致し方ないだろうし、着ている服の構造が複雑だったり、真夏なら汗でストッキングや下着が簡単にあげられないなんて事も時間がかかる理由。
小さいお子さんなら出来るだけ男性側が連れて行ってあげるのも混雑緩和になると思う。
つまり自分が待つのはイヤだが人を待たせるのは気にならないということか。
やらなきゃいけないんだし
ましてや生理中の方とか、男性より
時間がかかるのは当たり前
野外なら男性は、最悪立ちションもする人もいるし(笑
(倫理的な問題を度外視すれば)
むしろ、こんな論議がいまだになされることの方がびっくり
私はいつも女子トイレに行列ができてるのを見て
なんで女子トイレの比率をもっと多くしてあげないんだろう?
と思ってました
こんな当たり前のことを、どうしてトイレを作る人たちは考えないんでしょうね
5分以上だったり、10分くらいだったり。
コンビニでよくあるし、なかなか空かない。
やっと、やっと本気で考えてもらえる時代になったんだな。
本当に女子トイレは混むのよ。
サービスエリアも、商業施設も。休み時間が限られた学校もそう。
市役所の人に聞いたら最近改装しなかった棟はもう50年くらい前の設備で男女トイレのバランスも悪い(女子トイレが圧倒的に不足)ので、男子トイレを女子トイレにした場所が2、3ヶ所あると。
トイレ古すぎるともういろいろと悲惨。
高名な建築設計者の建物を見ても、外観や環境など誰が見ても分かり易い事ばかりに注力して、肝心の使い勝手を考える事が殆どありませんよね。
今回のサービスエリアや観光施設でも、設計する際にヒアリングすべきポイントだった筈なのに、しっかりヒアリング出来ていない為に質の悪い建造物となっていますよね。
本当に良い施設や建物のあり方を、根底から考え直すいい機会だと思いますがね。