もっと糾弾されるべきではないだろうか。巨人の高橋由伸監督が9月19日の横浜DeNAベイスターズ戦で、試合終了後の会見を拒否した。
この日はDeNA先発のドラフト1位ルーキー・東克樹投手に7回までパーフェクト投球を許すなどデビューから5戦5敗で、またしても辛酸をなめさせられて屈辱的な完敗。借金も今季最多の8に膨れ上がっただけでなく、21年ぶり3度目で21世紀としては初となる東京ドームでの負け越しまで決まった。
あまりにも不甲斐ない試合内容にはらわたが煮えくり返ったのか、あるいは戦意喪失でコメントする気力まで失ってしまったのかは定かでないが、自身が監督に就任して以来初の会見拒否は異常事態とも言えるだろう。
近年の巨人は本拠地東京ドームでの試合後、勝敗の結果に関係なくネット裏のイベントルームで指揮官がメディア対応することが事実上の慣例となっている。ちなみに前指揮官の原辰徳氏は監督時代、どんなにゲーム内容がひどくても試合後の対応を怠ったことはなかった。
2011年6月15日に東京ドームで行われた千葉ロッテマリーンズ戦に敗れた後、悔しさの余り机に帽子を叩き付け、のっけから「総括なんてできねえ!」と吐き捨てたことはあったものの、“3問限定”としながら記者の質問には応じていた。
しかも、この日の対戦相手DeNAのアレックス・ラミレス監督は16日の阪神戦(横浜スタジアム)で22年ぶりとなる20失点で無残な大敗を喫したが、きちんと試合後の囲み取材に応じている。つい3日前の大敗でも試合後に「私が監督となってすべてのことが初めて。
これだけ失点すると次の日には統計的に余り点を取られない」と努めて前向きに語り、翌日のリベンジに結び付けた。同じ巨人OBでもある敵将のほうが高橋監督よりも、よほど頼りがいがあるように感じられたのは筆者だけでないはずだ。
指揮官の会見拒否にも“意味”がある
プロ野球界全体で見れば、指揮官の会見拒否は今季3度目だ。直近では6月23日の福岡ソフトバンクホークス戦(ほっともっとフィールド神戸)でオリックス・バファローズの福良淳一監督がリクエスト審議の末に下された相手の本塁打判定に怒りを爆発させ、
試合後の会見を拒否。その前には5月18日の阪神タイガース戦(ナゴヤドーム)で1ー2と競り負けた中日ドラゴンズの森繁和監督が、やはり試合後の囲み会見を拒んでいる。
ただ前者のケースは試合後に本塁打判定を明らかな誤審と認めて謝罪していた背景もあり、福良監督の怒りは会見に応じることすらできないレベルにまで達し、とにかく相当なものだったと容易に推察できる。
しかもこの誤審本塁打が延長戦までもつれこんだ試合の決勝弾になってしまい、当時し烈なAクラス争いを演じていたホークス相手に手痛い黒星を喫してしまったのだ。個人的にはメディア側からの立場から見ても、福良監督の会見拒否は批判に値するものではなく同情の余地が十二分にあると思う。
後者の場合も森監督はいつもと同じようにインタビュールームに姿を見せ、自分の口で「今日は何もありません。選手に聞いてください」と丁寧に説明していた。
イベントルームにすら足を運ばず、その流れ上で関係者に会見拒否を説明させる格好となった高橋監督とは「誠意」という面においても大違いと言わざるを得ない。
実は昨季も8月25日、東北楽天ゴールデンイーグルスの梨田昌孝前監督が本拠地Koboパーク宮城(現楽天生命パーク宮城)での日本ハム戦で延長10回に勝ち越され、3連敗となった敗戦後に会見を拒否したことがある。
だが、この時期の楽天は開幕から7月まで首位を快走しながら、8月の急失速でその座をソフトバンクに明け渡すなどチーム状況が悪化の一途をたどっていた。長々と低迷して瀕死状態となっている今の巨人とはモチベーションの度合いにおいて状況が異なる上、快進撃から文字通りの「急降下」でどうにか歯止めをかけなければならない切迫した事態にさいなまれていたのである。
それだけにこの時の梨田前監督にはあえてコメントを発さず、主力の面々を鼓舞させるために「無言のゲキ」を飛ばそうと苦肉の策として会見を拒否した意図もあったようだ。
この策が功を奏したとは言い切れないにせよ、少なくともチームにさまざまな角度からハッパをかける“梨田の神通力”は当時のチームに浸透していた。
事実、その後はリーグ3位で出場権を得たCS(クライマックスシリーズ)で2位の埼玉西武ライオンズを下してファーストステージを突破。CSファイナルステージでもリーグ優勝のソフトバンクを相手に初戦から一気に2連勝するなど、結果として敗れたとはいえ、下克上を果たしそうな勢いで最後に意地を見せた。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180921-00000039-zdn_mkt-bus_all
みんなのコメント