文部科学省が4日発表した医学部・医学科を持つ大学への調査結果で、男子の平均合格率が女子よりも高かった大学は「厳正な選抜の結果」などと説明した。
しかし、医師の人材不足が課題となっている地方に比べ、都市部の大学は男子の合格率が高い傾向にあり、女子に不利な状況を指摘する声も上がる。
文科省の調査では、男子の合格率が6年連続で女子を上回った19校のうち、東京都、大阪府、政令市の大学が15校を占めた。
「性別や年齢による調整は行っていない」。その一つの慶応大(東京)の担当者はそう説明する。
合格率は男子12・5%、女子9・2%で1・37倍の開きがあったが、「性別をふせて採点している」と強調した。男女格差が1・36倍の大阪市立大(大阪)は、2次試験の筆記で配点の高い数学と理科で男子の方が平均点が高く、「結果的に男子が有利になっている可能性はある」と説明した。
格差が1・67倍と最大だった順天堂大(東京)は「文科省の最終調査を待ってコメントしたい」とした。
だが、医学部専門予備校の可児良友講師によると、男子の合格率が高い医学部・医学科入試では、面接で「子育てと仕事の両立をどう考えるか」など女子受験生が答えにくい質問が出ることも多く、女子に不利な傾向がみられるという。
医学部・医学科の入試は、卒業後に働くことになる付属病院などの採用試験の意味合いもあり、可児講師は、「出産で休むこともある女子より、男子を優先しがちだ」と指摘する。
一方、過去6年の平均合格率で女子が男子を上回った16校のうち14校は弘前大(青森)や岐阜大(岐阜)など、東京都、大阪府や政令市以外にある。
島根大(島根)の担当者は「女子は入試結果も入学後の成績も良好」、徳島大(徳島)は「成績順に合格判定した結果」と話す。
医師でNPO法人「医療ガバナンス研究所」の上(かみ)昌広理事長は「都市部では病院間の競争が激しく、働き続けられる男子を確保したい思惑がある」と語る。
また、駿台教育研究所の石原賢一・進学情報事業部長は「地方の女子は地元の医学部を目指す傾向にあり、女子が苦手とされる理科を2次試験で課さない大学もある」と話す。
調査結果には受験生から厳しい目が向けられた。今春、医学部を不合格となった都内の女子予備校生(19)は、「これだけ合格率に差があると不信感が募る。採点基準など透明性を高めてほしい」と訴えた。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180905-00050033-yom-soci
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