6日未明に北海道を襲った最大震度7の地震は、土砂災害などで震源付近の厚真町の住民ら41人が死亡(11日現在)、火力発電所が停止し、道内全域が一時停電するなど大きな被害をもたらした。
北海道の地質や地震を約20年にわたって研究し、現在は愛知県在住の平川一臣・北海道大学名誉教授(71)は、
ちょうど学会出席のために札幌市に滞在していて被災した。長年、研究対象にしてきた地震を身をもって体験した学者は、その時、何を思ったのか。(聞き手・読売新聞メディア局編集部 中根靖明)
講演を終えて爆睡していた未明に…
平川さんは、日本地質学会札幌大会(9月5~7日、北海道大学札幌キャンパスで開催)で講演するため、愛知県豊橋市の自宅を出て3日に札幌入りし、知人のマンションに滞在していた。
「5日午前に北海道での地震・津波の研究について学会で講演するために、4日に空路で札幌入りする予定でした。台風21号の上陸で飛行機が欠航する可能性などを考慮し、一足早く3日に札幌入りしていました。
予想通り、4日夜から5日朝まで札幌市は暴風雨が吹き荒れ、北大のキャンパスでは、ポプラの巨木が倒れてしまいました。ただ、台風が過ぎ去るのは早く、北海道全体ではそれほど大きな被害は出ていませんでした」
「台風が通過した後、予定通りに5日の講演を終え、夜は大酒を飲み、ジンギスカンを食べ、マンションに戻って明かりも消さず爆睡していました」
日付が変わり、6日午前3時8分、胆振(いぶり)地方を震源とするマグニチュード(M)6.7の地震が発生した。その瞬間、「ハッとして、すぐに目が覚めた」という。
揺れる間にも震源などを分析
長年、地震や地層などを専門としてきた職業柄、発生当時も落ち着いて対処していたという。「地震を研究してきた習慣からか、揺れの様子や推移などから『震度5程度。近くの活断層が動いたのではないか。P波(最初の波、縦揺れ)からS波(第二の波、横揺れ)に変化するまでが10秒程度だから、震源からの距離は70~80キロ程度だろう。
(活断層が連続する)石狩低地東縁断層帯(以下、石狩断層帯)が震源かも』などと、極めて冷静に分析していました」
横揺れが始まるや否や、つけっ放しにしていた明かりが消えた。
「S波の到達と前後するタイミングで、部屋が停電しました。復旧しないので、まずブレーカーが落ちていないことを確認し、明るくなるのを待って、マンションの階段を下り、大学のかつての研究室に向かいました」。
この時も「(厚真町にある北海道電力苫東厚真)火力発電所は(当時考えていた)震源から距離にして20~30キロ程度なので、これが停電に影響したか」などと冷静に考えをめぐらせていたという。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180912-00010000-yomonline-soci
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